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 米大統領選で、民主党候補のクリントン氏(69)と共和党候補のトランプ氏(70)はそれぞれ、2人の名字を用いた慈善団体を持っている。規模も事業内容も異なるが、違法活動や癒着の可能性が指摘されており、火種となっている。

クリントン財団=クリントン株式会社

 クリントン氏にとって、「クリントン財団」は昨年に立候補表明して以来、国務長官時代の「私有メール問題」と並ぶ問題だ。財団は夫のビル・クリントン氏(70)が中心となり、貧困や医療、災害救助、植林などの活動を行っている。しかし、海外関係者から、多額の献金を受け取っていることが「癒着」と疑われている。

 内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露したクリントン陣営幹部のメールでは、14年秋に陣営幹部が「メディアが注目し、起きていることの責任を問われる」と懸念を示した。10月に暴露された文書では、ビル氏の側近が財団への企業献金を促し、元大統領個人の収益につながる活動をしていた。「クリントン株式会社」と表現されていた。

 クリントン氏が国務長官時、献金者への便宜供与があったという証拠はない。ただ、同財団はクリントン氏が大統領に当選した場合、ビル氏が理事から退き、献金を米国市民や永住者に限定することなどの改革を発表している。

 ニューヨーク・タイムズなどは社説で「さらに距離を置くべきだ」と批判、民主党内からも「財団を閉鎖するべきだ」という声が上がっている。

トランプ財団、過去に州司法長官側に支出

 一方のトランプ氏が関係する「トランプ財団」も問題を抱えている。

 ワシントン・ポストによると、1980年代に設立された財団は当初、トランプ氏の資金によって運営されていたが、2008年を境にトランプ氏からの献金はなく、他人から金を集めている。にもかかわらず、トランプ氏が自分の利益のために使った疑いがある。

 13年、フロリダ州の司法長官の選挙に関連した団体に2万5千ドルを支出していた。この司法長官は当時、トランプ氏が関わる「トランプ大学」をめぐり、捜査を検討したが、結果的には見送った。献金との関連は無いと主張するが、慈善団体が政治献金をすること自体が税法違反だった。

 トランプ氏の関連企業が抱えた訴訟の和解に関し、トランプ財団から計25万8千ドルが支出されたことも明らかになった。10月にニューヨーク州司法長官は、財団が法律で定められた届け出をしないまま献金を呼びかけたとして、同州内での資金集めの差し止めを通達した。(ニューヨーク=中井大助