拡大する写真・図版 収穫され、コンバインから袋に移される早刈りそばの実。青々とした香りに包まれた=福井県坂井市

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福井・早刈りそば

 熟す前の若々しく美しい様は食の世界でも人々を魅了する。

 10月下旬、福井県坂井市丸岡町に茂る、草丈1・2メートルほどのそば。白い花や緑色の葉がついたまま、次々とコンバインがなぎ倒す。シャッ、シャッ……。刈り取られた実がタンクに当たる音が響いた。約35ヘクタールのそば畑で、今年初の収穫をしていた農家の大川勝利さん(51)が「この音を聞くのが、収穫の喜び」と豪快に笑った。福井の少し早い新そばの季節がやってきた。

 それは「早刈りそば」と呼ばれる。収穫時、実が黒く熟す前の緑色の状態のものが50~60%含まれる成長途中で刈り取る。黒い完熟の実が80%を占める通常期より1週間から10日早い。熟しかけの絶妙なタイミングで刈らなければならない。鮮やかな緑色をした実は、手ですくうと、若葉のような青々とした匂いがした。この独特の風味が特徴。楽しめるのは数週間だ。

 県食品加工研究所によると、早刈りの実は、完熟の実より香りが強く、含まれるルチンやポリフェノールなどの栄養価が高い。その半面、そばらしい味が薄く、成長途中で刈り取るため通常と比べ、収穫量が半分だ。

 一瞬の輝きを放つ早刈りそばの取り組みが始まったのは、ここ数年。「福井は栽培規模では勝てない。鮮烈な色と香りで勝負したい」と大川さんは言う。

あられ対策で収穫、季節感じる風味

 福井県では通常のそばの実を収穫する11月上旬の直前、度々あられによる被害を受けてきた。坂井市の大川勝利さんは本格的な寒さがくる前に早刈りし、全滅のリスクを避けている。

 早刈りは2002年に手探りで始まった。9月から市場に出る北海道産に比べて遅い福井産の新そば。橋詰製粉所(福井市)の橋詰伝三会長(77)が大野市の農家に時期を早められないかと打診した。黒くなる前の実を刈ってみると、「今までとは別物。色や風味の良さに驚いた」と商品化を考えた。

 課題は収穫。枯れて乾いた実を収穫する汎用(はんよう)コンバインを通常の収穫時期より早く畑に入れると、水分を多く含んだ青い葉や茎で詰まった。エンジンがやられ、100メートルで止まった。

 04年、県農業試験場と農機具…

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