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 運動や食事などの生活習慣が大きく影響する糖尿病。働き盛りの患者が多く、診断や治療の遅れが深刻な合併症につながることもある。国内の患者やその予備軍の人は、15年前に比べ1・5倍にも増えており、世界的にも発展途上国を中心に増加している。自覚症状のない軽症の人たちの発症を防ぎ、患者の重症化や合併症を予防するためにはどうしたらいいのか。

 11月14日は国連が定める世界糖尿病デー。ライトアップや健康相談会などのイベントが国内各地で開かれる。

国内に2050万人の患者・予備軍

 糖尿病は、血液中のブドウ糖の量が増え、血糖値が慢性的に上がる病気だ。体内で血糖値を下げるホルモン「インスリン」がうまく働かないことから起きる。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査(2012年)によると、「糖尿病が強く疑われる」患者は約950万人、「可能性が否定できない」予備軍は約1100万人で、計約2050万人にのぼる。

 1997年の計1370万人(患者680万人、予備軍690万人)に比べると、1・5倍に増えている。高齢化が進む中、今後も増加が見込まれている。糖尿病患者の増加は、医療費がさらに膨らむことにつながる。このため、国も1千万人に増加を抑えることを目標に掲げている。

 世界保健機関(WHO)の14年の推計では、世界の糖尿病患者数は4億2200万人で、世界的にも増えている。発展途上国など所得が低い国々での増加が目立っており、国際的な課題になっている。

生活習慣で防げる2型

 糖尿病には、大きく分けて2種類ある。膵臓(すいぞう)にある膵島(すいとう)細胞が壊れインスリンを分泌できなくなる1型糖尿病と、インスリンの分泌が少なかったり、うまく働かなかったりする2型糖尿病だ。

 糖尿病の患者の多くを占めるのは2型糖尿病で、糖尿病患者を家系に持つ人は糖尿病になりやすく、遺伝子がかかわる側面もある。ただ、運動不足や肥満、ストレスや睡眠不足などの生活習慣も大きく関係しており、日々の習慣を見直すことで発症を抑制させたり、遅らせたりすることができる。

 重症化を防ぐには、早めの発見や治療が重要だが、最初は自覚症状がほとんどなく、自分では発症したことに気づかないことが多い。高血糖が続くと、排尿する回数が増える(多尿)、のどがかわく(口渇)、水分を多くとる(多飲)、体重減少などの症状がみられるようになる。

治療に至らない働き盛り

 厚労省の調査では、「糖尿病が強く疑われる」患者のうち、男女とも40~49歳では、「治療を受けたことがない」と答えた人が半数ほどにのぼり、他の年代に比べて高くなっている。働き盛りの世代の人は、糖尿病の疑いがあると分かっていても、忙しいことなどを理由に医療機関を受診せず、治療に至っていないと考えられる。

 そのまま症状が進むまで放置されれば、網膜症、腎症、神経障害の三大合併症のほか、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞、がんや認知症など様々な合併症を引き起こすことがあり、早期の診断、治療が重要だ。

食事と運動が治療の基本

 治療の中心となるのは、食事療法と運動療法。食事療法では、その人の活動量に見合った量に食べ物を調節し、栄養が偏らないようにバランスがとれた食事をとる。運動療法は、散歩やジョギング、水泳などの有酸素運動をすることで、体内のブドウ糖や脂肪を消費。筋肉を鍛えることでさらに、効果が期待できる。食事、運動療法を続けても効果があがらない場合に薬による治療を検討する。

<アピタル:ニュース・フォーカス・オリジナル>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(北林晃治)

北林晃治

北林晃治(きたばやし・こうじ) 朝日新聞記者

2002年朝日新聞社入社、北海道報道部、さいたま総局をへて、東京本社生活部、科学医療部。厚生労働省など社会保障、医療分野を取材。東日本大震災後、社会部をへて再び科学医療部へ。2016年9月からアピタル編集部員