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 早くても2017年冬――。盛り土問題などに揺れる豊洲市場(東京都江東区)について、小池百合子知事がようやく移転する場合の日程を示した。安全確認とその対策に時間がかかり、さらに1年延びる可能性もある。つなぎ融資や補償で経営を続けられるか、多くの業者が不安を抱える。

 記者会見を受け、築地市場の業者らの間には、不安や怒りの声が渦巻いた。

 「大金が動く年越しを、つなぎ融資の1千万円で持ちこたえられるか。年明けに補償がなければ黒字倒産の業者も出かねない」

 マグロが主力の水産仲卸社長(68)は、4月からの補償開始に反発する。「家族経営の零細が多い仲卸に豊洲への投資がのしかかる痛みを、都は理解しているのか」

 業界団体でつくる築地市場協会の伊藤裕康会長は、「移転まで最短1年はやむなしとしても、最長で2年後の想定はショックだ」と怒る。560余の仲卸業者を抱える東京魚市場卸協同組合の伊藤淳一理事長は、「今回も事前に具体的な説明はなかった」と落胆した。移転延期以降、「知事とは1度も話す機会がない」といい、「築地に足を運んで直接声を聞いてほしい」と望む。

 母や弟らと水産仲卸店を切り盛りする男性(49)は、移転後を思い、「風評まみれの豊洲はマイナスからのスタート。築地以上の売り上げは見込めない」と嘆息した。顧客向けの市場見学会などを開くなど、移転までの時間を使って豊洲市場への理解が進むよう、都の対応を望んでいる。

 都によると、補償については今月下旬から聞き取りを行い、来年1月上旬までに補償の方法や範囲を決める。説明会を経て、4月から申請の受け付けや支払いを始める。

 補償金支払いまでの当面の支援として、来月1日から1千万円を上限につなぎ融資を行う。利子と保証料は全額を都が負担。融資の規模は約28億円を見込む。

 今後、最短でも1年間は使うことになる築地市場では、雨漏りや電気配線の老朽化などの緊急度の高いものから補修に取りかかる。(西本ゆか、伊藤あずさ)

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