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資生堂 魚谷雅彦社長に聞く

 電通の新入社員の過労死は非常に悲しかった。上司が「君の残業時間は会社にとって無駄」と言ったとされるが、そんな人のもとで僕だって絶対に働きたくない。協調が強みの日本で、立派な会社の上司が部下に放った言葉に、いつの間にこんな悲しい社会になったんだってショックだった。

 夜12時まで働く日本人の仕事の仕方は異常だ。ほかの人が残っているから帰らないような我慢のし合いはやめないといけない。勤勉でまじめゆえに、資料を一生懸命つくるが、それが無駄につながっていないか。

 僕がいつも言うのは、早く帰って、勉強会にいったり、友達に会ったり、家族と過ごしたりした方が会社の業績にも結果的につながるということだ。なぜなら、その方が人はクリエーティブになり、いいアイデアが生まれ、集中して仕事に取り組めるからだ。

 働き方改革で大切なのは、日本の長時間労働の背景にある強すぎるヒエラルキーを変えることだ。そのためには、人材の多様性が鍵になる。例えば、ドイツやフランスの人は、金曜日の午後は会社にいなかったり、2~3週間休みをとったりする。一緒に働けば、僕らの常識が彼らの非常識だと自然に気づかされる。

 そして、女性。化粧品を売っている資生堂で、社長が女性だっておかしくない。社内で経営塾や留学制度を作ったけれど、次の社長を選ぶころには、候補に女性がいてほしい。人材の多様性が働き方の改革に必要なのだから。(聞き手・西尾邦明)