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 12月4日の運行を最後に95年の歴史に幕を下ろすJR北海道・留萌線の留萌―増毛間(16・7キロ)。ニシン漁で栄えた歴史のまち増毛町のにぎわいの中心だった増毛駅は、終着駅の哀愁が数々の映画の舞台にもなり人々を引きつけてきた。時代を映し出す鉄道と関わってきた地元の人たちは、廃止を心から惜しんでいる。

手書き駅名、往来見送る 増毛の看板職人・堀利春さん(78)

 まもなく姿を消す区間の9駅すべてで昭和の時代、ホームに立つ「駅名標」を書いたのが同町の看板職人の堀利春さん(78)。約50年前に手がけ、JRに移行する1987年ごろまで、堀さんの文字が、行き交う多くの人を見送ってきた。

 22歳のときに地元に帰り、町唯一の看板職人として身を立てた。筆文字が得意で、商店看板のほか漁船の船名や当時町内にあった映画館の宣伝看板などを請け負った。

 ある日、国鉄から「『増毛』という文字を書いて」と頼まれ、筆で書いたところ、増毛から留萌の先の恵比島(沼田町)までの駅名標と駅掲示の時刻表、運賃表の文字を任された。60年代、行商や海水浴客でにぎわったころのことだ。

 ホームで作業をしていると、書き上げていく文字を乗客から背中越しにのぞき込まれることがしょっちゅうで、「最初は恥ずかしくてしかたなかったが、だんだん慣れた。大勢の人がいたからこそで、今から思うと懐かしい」と振り返る。

 増毛駅が全国に一躍知れ渡った高倉健さん主演の映画「駅 STATION」。登場する「風待食堂」の看板も堀さんの筆だ。

 時代は変わり、筆文字の看板と職人はほとんど姿を消した。そして駅そのものが地元からなくなる。「ただただ残念だ。手書きの看板にしても鉄道にしても、便利さやお金だけでは表せない歴史や伝統文化の価値がある。そこを失って、この町がどうなっていくのか心配している」

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