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 トランプ次期米大統領は2日、台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統と電話会談した。政権移行チームが明らかにした。米外交筋によると、1979年の米中国交正常化に伴って米国と台湾が断交して以来、米国の大統領や次期大統領が、台湾総統と電話会談をしたことが公になることは初めて。

 トランプ氏は2日のツイッターで、蔡氏を「台湾総統(The President of Taiwan)」と呼び、「私の当選祝いのために電話をくれた。ありがとう」と書き込んだ。「私に電話した」という部分が大文字で記されており、蔡氏からの申し出であったことを強調したかったとみられる。

 米政府は公式には、外交関係がない台湾の総統を名前で呼ぶことが多いが、トランプ氏は肩書で言及した。

 米政府はこのほか、高官が訪米する際は会談場所を政府施設ではなく、ホテルなどを使うことが多かった。いずれも台湾を国家と認めない中国への配慮のためだ。

 トランプ氏の政権移行チームによると、会談では、蔡氏からトランプ氏に対して当選への祝辞を伝えた。トランプ氏も今年5月に総統に就任した蔡氏を祝った。その上で、両者は「経済、政治、安全保障での緊密な関係が台湾と米国の間にある」と確認し合った。

 台湾総統府によると、会談は10分余り。アジア地域の情勢のほか、米台関係の将来について意見交換をしたという。

 台湾と外交関係がない米国はこれまで、高官が台湾トップと会談することを控えてきた。中国政府は台湾を国家として認めておらず、中国大陸と台湾がともに「中国」に属するという「一つの中国」原則の順守を求めてきた。

 中台関係の「現状維持」を唱える独立志向の蔡政権に対して、中国側は「台湾独立の動きを断固抑え込む」(習近平〈シーチンピン〉国家主席)として、圧力を強めてきた。トランプ氏が大統領就任前とはいえ、蔡氏と電話会談したことで、次期政権と中国との関係が緊張する可能性がある。

 トランプ氏は、習主席とは11月14日に電話会談をしている。(ワシントン=峯村健司、台北=鵜飼啓)