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 米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県大和、綾瀬市)の周辺住民ら約7千人が、軍用機の飛行差し止めや騒音被害に対する損害賠償を国に求めた訴訟の上告審判決が8日、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)であった。一、二審判決が認めた自衛隊機の夜間・早朝(午後10時から午前6時まで)の飛行差し止めを一転して退けたほか、二審判決が認めていた将来の騒音被害に対する損害賠償についても訴えを却下した。

 5人の裁判官全員一致の意見。各地の同様の基地騒音訴訟にも影響しそうだ。

 第4次となる厚木基地訴訟は、2007年に提訴。自衛隊機の運航を「行政の公権力行使」ととらえ、その違法性を問う「行政訴訟」の形でも初めて訴えた。

 第一小法廷は、住民に重大な損害のおそれがあることなどから、行政訴訟の要件を満たしていると判断。運航の権限を持つ防衛相に、差し止めが認められるほどの裁量権の逸脱、乱用があるかを検討した。公益性や騒音被害の程度、防音対策などを総合的に考慮した結果、「自衛隊機の運航が、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くとは言えない」と結論づけた。

 一方、将来分の損害賠償について二審判決は、米空母艦載機の岩国基地(山口県)への移転を見越して今年末までの将来分の支払いを認めていた。しかし第一小法廷は、「賠償額をあらかじめ明確に認定できない」と指摘。訴えは不適法だとして覆した。過去分の賠償については、二審判決が命じた約82億円がすでに支払われている。

 この訴訟で住民は米軍機の飛行差し止めも求めたが、最高裁は審理の対象とせず、訴えを退けた二審判決が確定した。(河原田慎一)