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酔わせて北陸:1

 甘酸っぱくも、香ばしい、チーズのような匂いが漂う。各地で雪が積もった昨年12月中旬、石川県小松市の築100年を超す木造蔵。ぽつんと置かれた200リットルステンレスタンクで、ぽこぽこと酒が沸く。「菌が主役のお酒です。ほぼ、ほったらかし」。西出酒造の蔵元杜氏(とうじ)、西出裕恒(ひろひさ)(34)はいたずらっぽく笑った。

 室町時代に確立した水酛(みずもと)という醸造法で、蔵の天然酵母で自然に発酵させる。まるで蔵の歴史そのもののような一杯が、今季最初のお酒。20日、西出は搾りたてを300ミリリットルの瓶に入れて仏壇に供え、4年前に他界した父・裕一に語りかけた。「今年も無事、できました」

 「春心(はるごころ)」の銘柄を製造販売する西出酒造は1913(大正2)年に創業。1世紀余りの歴史には18年の空白がある。4代目蔵元だった父の代だった96年、経営不振で蔵、経営権ともに知人に譲った。家族4人で近所のアパートに引っ越し、父は金紋酒造と名を変えた蔵に社員として通うようになる。「いつかまた、春心を造りたいな」。そのつぶやきが耳に残った。

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