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第1章:一時保護(3)

 「きょう、実施」

 晴れた日の午前10時、児童相談所(児相)内で開かれていた会議。虐待が疑われる幼い姉妹を職権で保護する方針が決まった。約1カ月前、管轄するエリア内の町から連絡があり、児相や関係自治体などが地域ぐるみで虐待に対応するための「要保護児童対策地域協議会(要対協)」で対応を検討してきた事案だ。

 保育園に通う姉の体のあちこちに、半年以上前からあざが繰り返し見つかっていた。母親は「遊んでできた傷」などと説明していたが、傷の場所や形から虐待の可能性が高いと児相は判断した。

 1歳の妹の詳しい状況はわかっていなかった。保健所の乳幼児健診に妹が健診に来れば、医師に身体状況を確認してもらい、傷があれば一時保護する計画を立てた。姉は同じ日に保育園で一時保護することにした。

 健診には母親も一緒に来る。仮に保護すると判断したときに、どうやって母親と引き離し、騒ぎにならない形で妹を連れ出すのか。打ち合わせは続いた。

 「傷がないからといって保護しなくて大丈夫?」

 「1回保護して確認した方がいいのでは?」

 「医師の判断が重要。医師によく説明しなくては」

 町や保育園との連携、健診担当の医師への説明、保護者への告知などの手順も確認した。

 一緒にいる親子から子どもを強制的に引き離して職権で一時保護しようとするとき、児童相談所は不測の事態にも備えて周到に準備を重ねる。それでも思い通りに事が運ぶとは限らない。

 児相内にはふだんにも増して緊…

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