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スコアの余白

 プロとしての第一歩を踏み出そうとする新入団選手にしては、いささか風変わりな目標だった。

 「世の為(ため)、人の為(ため)」

 意外な決意を書いた色紙を11月の入団会見で掲げたのは、ドラフト会議でソフトバンクから2位指名を受けた投手、江陵高(北海道)の古谷優人(17)だ。「有名になって、障害者の方たちを(自分の試合に)招待したいんです」

 最速154キロを誇る左腕。甲子園には届かなかったが、「闘争心あふれるマウンドさばきで、打者を圧倒する投球ができる」と担当スカウトの評価は高い。今夏の選手権・北北海道大会では、大会記録の20奪三振をマークした。

 古谷が「本当に感謝している」と語る存在が、妹のみりあさん(9)だ。「ここまで成長できたのは妹がいたから」。先天性の脳障害を持つみりあさんは、現在も左半身がやや不自由で言語障害が残るという。

 ただ、生まれたばかりの頃は「歩行や会話は難しいかもしれない」とさえ言われた妹が障害に負けず、球場で「頑張れ!」と応援してくれたことは、古谷の背中を何よりも押した。みりあさんと向き合う中で、「人を助けたいという思いが強くなった」と言う。

 社会福祉活動は大切な夢の一つ。そのためにも「球団を代表する選手になります」。初めて本拠のマウンドに立つ日のことは、もう決めている。「まず一番に(妹を)福岡に呼びたい」(吉永岳央)

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