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 氷上で曲に乗り、華やかな衣装で美しく舞うフィギュアスケート。スター選手を追いかける、熱狂的なファンは少なくない。まもなく全日本選手権。その魅力、どうみますか。

唯一無二の個性、評価の仕組みがほしい 元フィギュアスケート選手・伊藤みどりさん

 適応すること。採点ルールが年々変わっていくフィギュアスケートで、選手に求められる重要な能力の一つです。

 私が現役だった1990年には、当時あった3種目のうち、氷上に図形を描くコンパルソリー(規定)が廃止されました。苦手種目がなくなり、世界から「ミドリ・イトウの時代が来た」と言われましたが、むしろ重圧でした。

 プレッシャーをはねのけるために切り替えました。個性を出すしかない、と。女子で自分にしかできなかったトリプルアクセル(3回転半)をはじめ、ジャンプの力強さを引き出せる曲を選ぶなどの工夫をしました。92年のアルベールビル五輪では、銀メダルをとることができました。

 現在の採点方式は、2002年ソルトレーク五輪の不正採点問題をきっかけに、05年から始まったものです。ジャッジの主観をできるだけ排除するため、ジャンプの回転数や踏み切り方、ステップやスピンの回数を細かく数え、曲の解釈や表現力といった芸術面も点数化しました。

 得意技が一つあれば勝てた時代は、終わりました。男子の世界最高得点を持つ羽生(結弦)君のように、すべての要素が高いレベルでそろっていないと勝てない。私がいま現役だったら、取り残されていたかもしれませんね。

 一方、スケーターの個性は薄れているのではと感じます。最近は、得点が1・1倍になる演技後半にジャンプを固めたり、手を上げながらジャンプを跳んで加点を得たりする選手が目立ちます。一人がやり出すと、みんなまねをし始める。ルールに適応するという点では優れていますが、演技が均質化していくのは、寂しいですね。

 唯一無二の個性を持った選手もいます。男子の(宇野)昌磨君は、トリプルアクセルを跳んだ後に両足のつま先を広げて上体を後ろに反らすクリムキン・イーグルができる。世界選手権2連覇中のハビエル・フェルナンデス選手が今季のフリーで踊るエルビス・プレスリーの世界観は、誰にもまねできません。(浅田)真央ちゃんには観衆を引き寄せるオーラがあります。

 フィギュアスケートは、スポーツ性と芸術性を兼ね備えていますが、近年のルール変更は、正しいジャンプの跳び分けなど、スポーツ性を重視する傾向にあります。順位を付けて競い合う以上、採点の見える化は必要なことです。でも、選手の個性がもっと評価されるしくみがあっても良いですね。

 採点ルールは国際スケート連盟が「ああだろうか、こうだろうか」と試行錯誤を重ねながら、変わっています。選手はむしろ、「自分たちがルールをつくり上げる」という気概を持ち、自分にしかできない演技を磨いて欲しいです。(聞き手・前田大輔)

     ◇

 1969年生まれ。89年世界選手権でアジア勢初優勝。現在は、フィギュアスケート教室で講師を務める。

ショーの要素を含む試合に心揺さぶられる 女装家・タレントのミッツ・マングローブさん

 フィギュアスケートは採点競技です。華麗な演技イコール強者、ではありません。大事なのは「得点をどう取るのか」ということです。

 野球の試合も同じですが、選手…

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