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 新潟市民病院(新潟市中央区)の研修医だった女性(当時37)が自殺したのは過重労働が原因だとして、女性の30代の夫が8月、新潟労働基準監督署に労災認定を求めた。夫は情報公開請求で他の研修医の勤務実態も調べて市に改善を求めたが、「具体的な対策が示されなかった」として、13日に同労基署に対し、同院に長時間労働を解消するよう勧告することを求めた。

 夫や代理人弁護士によると、女性は昨年4月から市民病院で勤務。同年秋ごろから体調不良を訴え、今年1月に死亡した。電子カルテの記録などによると、女性は過労死ラインとされる月80時間を上回る時間外労働をしていたという。

 市への情報公開請求では、同院の研修医30人以上が昨年6月の1カ月間に80時間以上の時間外労働をしていたことが分かったという。夫は11月、市に改善を求めたが、「(女性の労災認定の)労基署の判断を踏まえ、必要に応じて検討する」という回答だったという。

「労務管理の認識改めて」...無念の夫

 死亡した女性の夫は「労災が認められても妻は戻ってこない。市民病院には、労働管理の認識を改めてほしい」と話す。

 妻は看護助手として働きながら、夢をかなえるために医学部を目指した。朝4時に起き、出勤前に受験勉強。2007年、28歳で新潟大学、13年に国家試験に合格した。市内の別の病院で前期研修医として働いた2年間は、平日も自宅で一緒に夕食を食べられた。

 だが、15年に市民病院に移ると、状況が大きく変わった。平日は帰りが遅くなり、休日や夜間の勤務も増えた。同年秋ごろには様子が変わり始め、日課だった愛犬の散歩をしなくなり、帰宅後はまっすぐ寝室に向かうことが増えた。「気力がない」「病院に行きたくないし、人とも会いたくない」ともらし始めた。

 今年1月下旬、行方がわからなくなった妻を家族で探していると、自宅近くの公園の雪の上で倒れているのを夫の母親が見つけた。そばには飲み終えた酒と睡眠薬があった。警察は自殺と判断したという。

 「ずっと医者として働くから」。生前、そう言っていたという。夫は「医師として成長する姿を見届けたかったし、ずっと一緒に暮らしたかった」という。

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