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第3章「親と向き合う」(1)

 住宅地図を見ながら、虐待対応チームのワーカー(児童福祉司)で、50代のタカオ(仮名)ら2人が小さなアパートにたどりついた。午後8時。あたりはすでに真っ暗だ。

 2階にある部屋のドアをノックした。

 「夜分にすみません」。タカオが声をかけると、父親が顔をのぞかせたという。

 「児童相談所です。泣き声がすると通報があったので来ました」。そう言って身分証明書を見せると、父親はすぐにこう言った。「虐待とかないですよ。2歳だから、泣くんです」

 実はこのケース、「母親が怒鳴っていて、子どもがよく泣いている」と、近所の人から児相に虐待通報があったのは10日以上前だ。

 通報の翌日、ワーカーはアパートを3回訪ね、その翌日も足を運んだが、会えなかった。部屋に人の気配はするものの、ドアをノックしても出てこなかった。手紙も置いたが連絡は来ず、その後は訪問できずにいた。

 西日本にある、この児童相談所(児相)には、1日平均1~2件の虐待通報が寄せられる。児相は、通報があれば48時間以内に子どもの安全を確認することを求められている。会えないまま放置して、子どもが死亡する事件が全国で相次いだことが背景にある。

 このケースでは、地域の保健師が訪問した際も、母親は拒否的な態度をとったという。心配になる情報だった。子どもの姿を直接確認するため、夜に訪問することを決めた。

 虐待通報を受け、家庭訪問を繰り返しても子どもの安全を確認できないことがある。やっと親に会えたと思っても、拒否的な態度を示す親もいる。通報から48時間以内の安全確認は簡単ではない。

 タカオらがアパートを訪ねたそ…

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