「子どもをいますぐ戻せ、コラッ!」
「いきなり連れて行くのは納得ができない!」
時計の針は午後4時を回っていた。児童相談所(児相)の面接室。怒声が廊下に響き渡った。
児相はこの日、保育園児を職権で一時保護した。子どもには体のあちこちにたびたび不自然なあざができていた。「パパがやった。ママもする」と子どもが言ったことなどから保護に踏み切った。
一時保護した直後、児相にやってきた母親や親族と、担当ワーカー(児童福祉司)のハルミら3人が向き合った。万が一に備えて男性職員も同席した。
「悪いことは悪いと教えることも大切や」
「おまえらあざのある子は全員保護するんか」
「子どもを連れてこない限り帰らん」
延々、怒鳴られ続けた。虐待対応チームに入って1年目で、20代のハルミは途中で何回か退室しては上司に報告して指示を仰ぎ、折れそうになる心を立て直して面接室に戻った。
「お気持ちはわかります。お子さんの身の安全のために調査をさせていただきます」「安心安全の生活を確認するために協力してください」。ハルミはそう言い続けるしかなかったという。
子どもを職権で一時保護した場合、児童相談所(児相)はたいてい親から激しい抗議を受ける。どんな言葉を浴びせかけられようともじっと耐え、児相の考えを伝える。子どものために親との関係は切れない。
4時間にわたる押し問答の末、…
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