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南十字星の下で

 2017年が明けて最初の『南十字星の下で』なので、今回は新年の抱負を書いてみたい。

 「国とは何だろう?」を意識して考えてみる。

 抱負というより、いまだに答えが出ない問いに決着をつけたいだけなのかもしれない。

 思えば、イタリアと英国で過ごした高校・大学時代の1980年代半ばからずっと、「国って何?」を問い続けてきた気がする。日本という島国を出て、多くの国々が緊張の中でひしめき合う冷戦時代の欧州で暮らした5年間は、かなり強烈だった。

 ここ数年は、オーストラリアという多文化主義の移民国家に住みつつ、仕事の関係で南太平洋の島々へも足を運んできた。オーストラリア大陸と小さな島国を行き来する生活を続けていると、嫌でも「国」というものを「規模」の視点で考えるようになる。

 面積でいうと、シドニー支局が担当する地域内で一番広いオーストラリアは、日本の約20倍もある。人口は約2400万人だから、だいたい日本の5分の1。どこへ行っても広いな、ゆったりしているなと感じるのは当然だ。

 昨年末、南太平洋のニウエを訪ねる機会があった。こちらは鹿児島県徳之島と同じくらいの広さで、人口は1600人くらい。車でぐるっと一周しても1時間程度で、これまで行った百を超える国の中でも最小級だった。

 住民としての人口は、「世界最小国」と呼ばれることが多いバチカンの方が少ないかもしれない。でも、ローマ法王庁では多数の聖職者や従業員らが通いで働いている。昼間の人口は、ニウエの方が少ないのではないだろうか。

 ニウエはもともとニュージーランド(NZ)領で、74年に自由連合の自治領へ移行したが、外交と防衛はNZに委任している。だから「ニウエ旅券」というのもはなく、海外へ行くときは通常のNZ旅券を使っている。ニウエの「国民」は全員がNZの「市民権(citizenship)」を持ち、通貨もNZドルだ。

 オーストラリアやNZ、米国などの移民が多い国では、「市民権」を取ることは「国籍(nationality)」を取るのと同じ意味がある。「永住権」と違い、たとえばオーストラリアでは「市民権」を取れば選挙で投票でき、国家公務員になる資格が得られる。ただ、市民権には「欧州市民権」のように、国以外の地域に所属する資格を意味することもある。

 NZの「市民権」を持つのなら、ニウエの人々はNZ国民なのではないだろうか。でも、現地で「あなたは何人ですか」と聞くと、みんな「私はニウエ人(Niuean)です」と言う。そして、NZの自由連合であり、NZ市民権を持っていることを誰もが歓迎していた。こうなると、何をもって「国家」と呼ぶのかが気になってくる。

 教科書に書いてある国家の条件…

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