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松任谷由実 瞬間の切り詩4:曲を贈る

 中学時代から、絵を勉強するため東京のお茶の水に通っていた。そこは芸術系の大学に入るための予備校。何浪かの後、いよいよ年貢の納め時と、就職を選ぶお兄さんたちが近くの錦華(きんか)公園で執り行った“断髪式”に立ち会ったこともあった。1970年代の半ば、バンバンから曲を頼まれた時、学生運動の傷あとが残るお茶の水辺りとその光景を思い出した。「『いちご白書』をもう一度」(75年)には、そんな若者たちの姿が揺れている。

 10代の初めから、おぼろげに曲を作っていた。ラッキーにも14歳でプロの目にとまり、その時の曲が元ザ・タイガースの加橋かつみさんのシングルになった。当時は、作曲家になりたかった。

 私には三つの名前がある。松任谷由実、結婚前の荒井由実、そして作家としての呉田軽穂(くれたかるほ)。映画女優グレタ・ガルボのもじりで「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」の逆。ポップスのように軽やかに行きたいねとの思いを込めた。本当は、マレーネ・ディートリヒの方が好きなんだけれど、巧(うま)く漢字にならなかったから。

 他の人のために曲を作る時は、…

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