[PR]

 一時保護した子どもを児童養護施設や乳児院などに入れるには、親権をもつ保護者の同意が必要だ。同意しない保護者も少なくなく、その場合、児童相談所は児童福祉法28条に基づいて家庭裁判所に申し立て、認められれば施設に入所させることができる。

 2014年度は全国で350件の申し立てがあり、267件が承認された。10年前に比べ約2倍に増えた。また、児相が親権喪失や親権停止、管理権喪失を家裁に請求したケースは14年度は22件あり、20件が承認された。

 かつては親権を重く見て踏み込んだ対応をためらう児相も多かったが、最近は子どもの安全を守るために、施設入所に同意しない親たちに対して28条の申し立てなど積極的な法的措置をとる児相が増えている。12年4月から「親権を最長で2年間停止できる」とした親権停止制度を新設した改正民法が施行されたことも背景にある。それまでは、期限に定めがない親権喪失の制度があったが、児相は親子関係の断絶につながりかねないとして申し立てをためらう傾向にあった。

 米国では裁判所が深く関与する。まず行政が保護をした場合、その保護が妥当かどうかを裁判所が判断する。子どもの保護が妥当だと判断された場合は、行政は親に対して生活態度や子どもへの処遇を改めるよう求める。同時に更生プログラムを紹介し、定期的に親と子どもを会わせながら親の変化を観察する。

 裁判所は少なくとも6カ月に1回審理を開き、行政からの情報、親の言い分、子どもの意見などを聞いて、親の態度や家庭環境に変化や改善があるかなどを確認。保護されてから1年~1年半の間に親元に戻すか、親権を停止して養子縁組するかなど、子どもにとって最良とみられる道を決める。

 親から見れば、1年ほどはチャンスを与えられるが、成果を出さなければ親権を停止されてしまう仕組みだ。親が変わらなければ、虐待は繰り返される。米国の裁判所関与は、行政の措置が妥当かどうかを判断するだけでなく、親の行動改善を促す仕組みも内包している。