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 研究者や市民らでつくる「村山首相談話を継承し発展させる会」(藤田高景理事長)は27日、東京都内の参院議員会館で記者会見を開き、安倍首相に「アジア侵略の謝罪」を求める声明を発表した。首相の真珠湾訪問については「今さら米国との和解を演出しても、アジア侵略の事実は消せない」と批判した。

 声明では、首相に「真珠湾の帰途にシンガポールに立ち寄り、虐殺犠牲者追悼碑に献花できるはずだ。(中国の)南京やハルビン、朝鮮半島や日本国内の強制連行・強制労働の追悼碑・記念館での献花や、存命の被害者への謝罪に取り組むべきだ」などと求めている。(北野隆一

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 「村山首相談話を継承し発展させる会」が27日の記者会見で発表した「真珠湾で献花をする安倍首相にアジア侵略の『謝罪』を求める声明」の全文は以下の通り。

 安倍晋三首相は、明日27日(現地時間)にハワイの真珠湾アリゾナ記念館においてオバマ米国大統領とともに献花し、その後に「慰霊」のスピーチを行うことが、公式に発表されている。なぜ日米開戦の日でもないこの時に慌ただしくこうした日程が組まれたのか、日米両政府から納得のいく説明はされていない。両首脳はTPP交渉につまずき、国内の諸政策でも厳しい批判の目が向けられている。そうした国政の失策から関心を逸(そ)らさせるために、戦争犠牲者の魂や遺族の心情が政治的に利用されるのを、我々は見過ごすわけにはいかない。

 とりわけ安倍首相の場合、今回の行動をもって「戦後政治の総決算」あるいは「歴史戦を自分の代で終わらせる」「未来志向」の取り組みの一環とするなどの意味づけを繰り返している。安倍首相の歴史認識が未熟かつ粗雑であることは、4月28日が1952年の講和条約によって沖縄県を切り捨てた日であるにもかかわらず、2013年の同日に政府主催で「主権回復記念式典」を突如開催し、沖縄県民に新たな屈辱感を植え付けた事例などによって、周知のこととなっている。

 さらにこれまではもっぱら歴史修正主義者が用いるだけであった造語「歴史戦」を、安倍首相が口にしている。これは、首相自らが歴史修正主義者であることを証明していることに他ならない。しかも造語「歴史戦」を常用している『産経新聞』は、1993年8月15日の社説<主張>において、先の戦争を四つの側面に分け、対中国の「侵略政策は、『十五年戦争(俗称)』をもたらした。弁明の余地はない」と断定している。一方で対ソ連(現・ロシア)については「日本に非はない」とし、対東南アジア諸国については「結果として欧米列強の植民地支配からの解放と独立をもたらした」と、恩着せがましくしながら、「現実には資源の獲得が狙いだった」と認めている。

 四つ目の対米国については、実質的な最後通告となった『ハルノート』が「日本を開戦に追い詰めた」のだとし、米国にも責任があると指摘している。しかも同時に「日本の対アジア拡張政策が米国の権益を脅かしたことは事実だが」と言及し、日米は植民地支配などで勢力争いをしていた存在であったと、認めている。

 安倍首相シンパの歴史認識においてさえ、日米はともにアジアに対する侵略勢力であったと認め、日本は少なくとも中国と東南アジアに侵略行為をしたと、歴史教科書の多くでも確認されている。今更の米国との「和解」を演出して見せたところで、アジア侵略の事実や認識は消せない。

 それどころか、アジアの被害者家族などが心情を無視されたことで新たな怒りの炎を燃えたぎらせ、新たに世代を超えて被害の事実と怒りを語り継ぐきっかけを安倍首相が創(つく)ることになりかねない。そうした禍根を残さないようにするには、さしあたり、真珠湾の帰途にシンガポールに立ち寄って、虐殺犠牲者の追悼碑「血債の塔」に献花することなどが、可能なはずだ。

 また、南京・ハルビン、朝鮮半島などのアジア各地や日本国内では強制連行・強制労働の追悼碑・記念館等が各地に多数存在している。それらへの献花や存命の被害者に謝罪することに今からでも、安倍首相は取り組むべきである。それがどれほど困難であろうと、自己の認識不足を自覚しなないままに「戦後政治の総括」あるいは「歴史戦」を「終わらせる」などと口走った者の責務である。われわれは、安倍首相がこれらの責務を果たすことを強く求める。

 さらに、われわれ「村山談話を継承し発展させる会」は、今後も安倍首相を含む歴史修正主義者たちによる歴史歪曲(わいきょく)の動きを監視し、声を挙(あ)げ続ける所存であることをここに表明する。