[PR]

 オスプレイの事故、米軍普天間飛行場の移設工事再開――。沖縄県出身の慶応大3年、仲村颯悟(りゅうご)さん(20)は、複雑な思いで故郷を見つめる。基地問題について、賛否で割り切れない思いを抱く若者を描いたフィクション映画を昨年、公開。「日本全体で考えてほしい」というメッセージを改めてかみしめている。

 「結局、オスプレイもおちたことないからね」。仲村さんが撮った映画「人魚に会える日。」には、高校生がそう語る場面がある。今回の事故はそれを覆した。「大人たちが配備に反対してきたのは、安全だと思っていたものが危険に変わる瞬間を何度も目撃してきたからなんだ」。米軍絡みの事件事故が繰り返されるたび、大人が口にする「またか」。その言葉の意味を痛感した。

 事故の後、ネット上では「やっぱり」といった声の一方、思いを書き込むのではなく事故の記事だけをリツイート(転載)する若者もいた。意見を発信していいのか迷っているように感じた。自身も昨年9月から留学する米国で、事故のことを周囲に話せずにいる。沖縄出身と言うと「長寿の島でしょ」と笑顔が返ってくる。「温かく迎えてくれる人たちに話していいのだろうか」

 「基地と身近な環境で育った僕らにとって、基地問題に意見を持つことはとても難しい」。基地で働く友人や、米兵の親を持つ知人もいる。「反対派の意見も、容認派の意見も理解できる。言葉にできないから『わからない』と答える」。映画には、そんな自分たちの姿を投影した。

 映画は全国各地で公開された。昨年8月だけ上映予定だった沖縄県沖縄市の「シアタードーナツ・オキナワ」では、上映を延長。代表の宮島真一さん(43)は「沖縄の今を生きる僕らの『どうしたらよいのかわからない』という声を代弁するような映画。立ち止まって考える機会にしてほしい」と話す。

 基地に賛成か、反対か。仲村さんも答えを出せていない。「基地に関する話題を見かけたら、ほんの少しでいいから、その記事を読んでほしい。みんなで悩んで、みんなで考える。そこから広がる可能性があるはずだと信じたい」(仲村和代)