宮内庁は新年にあたり、天皇、皇后両陛下が昨年1年間に詠んだ歌から両陛下が選んだものを発表した。天皇陛下が同庁を通じて毎年公表してきた「新年にあたってのご感想」は、公務負担軽減策の一環で今回から取りやめた。

 天皇陛下は、東日本大震災後、被災3県で初めて開かれた岩手県での国民体育大会で、犠牲者に黙禱(もくとう)した開会式の様子を詠んだ。また、長野県阿智村の満蒙開拓平和記念館を訪れた際の歌もある。

 皇后さまの熊本県の被災地についての歌は、「果たして自分などが見舞うことが出来るだろうか」とためらいつつ、それでも「人々の傍らに」という天皇陛下の気持ちに寄り添って訪問する心情を詠んだものだという。

 2017年の両陛下の主な予定は、1月2日に皇居での一般参賀で皇族方と宮殿のベランダに立つほか、ベトナム訪問は2月下旬から約1週間の旅程で調整が進んでいる。5月に富山県で全国植樹祭、9月に愛媛県で国民体育大会、10月に福岡県で全国豊かな海づくり大会に出席する。(多田晃子、島康彦

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 発表された歌は、天皇陛下が5首、皇后さまが3首で、それぞれ印象深かったことが詠まれている。

 ▽天皇陛下

 〈第67回全国植樹祭〉

 山々の囲む長野に集(つど)ひ来て人らと共に苗木植ゑけり

 〈第36回全国豊かな海づくり大会〉

 鼠ケ関(ねずがせき)の港に集(つど)ふ漁船(いさりぶね)海人(あま)びと手を振り船は過ぎ行く

 〈第71回国民体育大会開会式〉

 大いなる災害受けし岩手県に人ら集(つど)ひて国体開く

 〈平成28年熊本地震被災者を見舞ひて〉

 幼子の静かに持ち来(こ)し折り紙のゆりの花手に避難所を出づ

 〈満蒙開拓平和記念館にて〉

 戦の終りし後(のち)の難(かた)き日々を面(おも)おだやかに開拓者語る ▽皇后さま

 〈1月フィリピン訪問〉

 許し得ぬを許せし人の名と共にモンテンルパを心に刻む

 〈被災地 熊本〉

 ためらひつつさあれども行く傍(かたは)らに立たむと君のひたに思(おぼ)せば

 〈神武天皇2600年祭にあたり橿原神宮参拝〉

 遠つ世の風ひそかにも聴くごとく樫の葉そよぐ参道を行く