陰のある二枚目役で舞台からテレビ、映画まで幅広く出演した俳優の根津甚八(ねづ・じんぱち、本名根津透〈ねづ・とおる〉)さんが29日昼、肺炎で都内の病院で死去した。69歳だった。葬儀は近親者で営む。

 唐十郎主宰の劇団「状況劇場」に参加。71年、「少女仮面」の腹話術師役で評価を得て以後、「ベンガルの虎」や「唐版・風の又三郎」など、79年の退団まで状況劇場の人気役者として活躍した。

 テレビでは「娘たちの四季」や「冬の運動会」などに出演。山田太一脚本「男たちの旅路」の1編「墓場の島」(77年)ではスター歌手に仕立てられた若者の反逆を演じて強い印象を残した。78年の大河ドラマ「黄金の日日」の石川五右衛門役では、スマートな演技で茶の間の人気を得た。

 映画では、黒澤明監督が「影武者」「乱」に起用。特に「乱」(85年)では戦国大名の息子の一人を好演した。柳町光男監督の「さらば愛しき大地」(82年)では地方都市で自分を見失う男を演じ、キネマ旬報主演男優賞などを得た。90年代は「夜がまた来る」「GONIN」など石井隆監督作品に出演した。

 近年は心身の調子を崩して一線を退いていたが、15年、石井監督の「GONIN サーガ」に病を押して久々に出演した。