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 トランプ次期米大統領は11日(日本時間12日)の記者会見で、日本を貿易不均衡の是正に向けた「標的」のひとつに挙げた。一方で、国務長官候補からは、沖縄・尖閣諸島をめぐる認識はオバマ政権の考え方を踏襲するメッセージが発信された。トランプ氏や次期政権中枢から繰り出される「トランプ砲」に、日本政府や経済界関係者は翻弄(ほんろう)されている。

 「1980年代に戻ったという印象。先祖返りだ」(外務省幹部)――。対日貿易赤字への不満を表明し、日本企業を攻撃するトランプ氏の対日観について、日本政府内では懸念の声が上がった。

 菅義偉官房長官は12日の記者会見で、日本企業の米国に対する累積直接投資が4110億ドルに上り、約84万人の雇用を創出しているとの米政府の統計を引用。「日本企業は米国の良き企業市民として米国民にもしっかり認知されている」と強調し、「活発な貿易投資は日米経済関係の活力の源泉だ」と述べた。

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に携わる日本政府関係者は、今回の会見でトランプ氏が昨年表明したTPP離脱についての言及がなかったことに注目。「彼がやりたいのはTPPに代わる新しい協定ではなく、貿易赤字を減らすことだ」と分析した。

 トランプ会見を受け、12日の外国為替市場では一時、約1カ月ぶりとなる1ドル=113円台をつけ、日経平均株価も一時、前日よりも290円以上も下落。前日より229円97銭(1・19%)安い1万9134円70銭で取引を終えた。日本商工会議所の三村明夫会頭は記者団に「為替の動きも戸惑いを反映している。バランスのとれた政策を打ち出すことで、不安感を払拭(ふっしょく)してほしい」と語った。

 一方、日本政府が注目していた安全保障政策をめぐっては、次期米国務長官に指名されたティラーソン氏が上院外交委員会公聴会で、尖閣諸島(沖縄県)が日米安全保障条約の適用対象との認識を示したことに、安堵(あんど)の声が広がった。

 外務省幹部は「現政権の考え方を継承し、日米同盟を重視すると確認できたのは非常に重要なことだ」と強調。防衛省幹部も「政権が代わるたびに尖閣を対象にするかどうかで変わったら困る」と歓迎した。菅氏は会見で「米国との間では累次の機会に尖閣諸島は我が国の施政権下にあり、日米安保条約第5条が適用されることを確認している。次期国務長官にもこうした立場に沿ってほしいとの思いだ」と述べた。

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