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 主要メーカーや老舗パーツショップがひしめく改造車の祭典「東京オートサロン」で、出展の常連として知られるのが日本自動車大学校(千葉県成田市)だ。学生らしいユニークで派手なクルマが名物だが、今回は、古めかしいながらもきれいにレストアされた一台のフェラーリが群を抜いて異彩を放っていた。

 同校は1996年から出展。整備士養成学校として89年に開校して間もない当時、理事長の夢でもあった独自のカスタムカー1台を制作・出展した。98年からはカスタマイズ科を開設し、学生が本格的に制作を開始。卒業制作として予算100万円で、数人ごとの班に分かれて企画・デザインから車検取得までを自分たちでこなす。

 会場ではスーツを着込んだ学生たちが自ら説明に立ち、来場者の感想を直接聞く。実践的な教育の場として定着し、今年はカスタムカーだけで計9台を出展している。

 注目のフェラーリは、80年式の308GT4。ミッドシップエンジンで平べったいフォルムが特徴の、当時のスーパーカー人気を代表する一台だ。オーナーは群馬県藤岡市在住の町田勇さん(68)。同好の仲間と気長にレストアするつもりで十数年前に購入したが、手つかずのままだった。学生たちの教材として役立ててもらおうと、もう一台の部品取り車と一緒に提供した。しっかりとレストアを完成させ、走行可能な状態で町田さんに返す約束だ。

 大友周さん(21)ら学生4人のチームが着手したのは昨年7月。内外装を引っぱがして錆(さび)を取り、穴を板金で塞ぐ地道な作業。ボンネットなどにアルミをおごる高級スポーツカーは、教材としては難易度が高い。アルミは鉄に比べて割れやすいため、繊細な加工が求められる。革張りのダッシュボードも手で貼り替えた。流通台数の少ない古い輸入車のため、「ボルト一つ外すのも手探り。マニュアルもない中で試行錯誤するけど、外せた時の喜びは大きかった」(大友さん)という。

 町田さんのリクエストで、渋いメタリックの濃紺に塗り替えられたピカピカの一台。ただ、実は別途オーバーホールしたエンジンをポンと載せているだけで、ラジエーターなどの補機類は未着手。ここから走る状態にまで仕上げるのがレストア工程としては本番と言える。3月に卒業するまでに間に合うか不安だが、「また新しい発見があると思うとワクワクしている」と大友さん。就職が内定している輸入車ディーラーでの仕事にも役立てたいと意気込む。

 作業過程の報告を逐一受けている町田さんは「まだ50%。これからが大変」と気に掛けながらも、ボロボロの状態から見違えた力作を前に目を細めていた。(北林慎也)

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