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 2011年8月に浜松市天竜区の天竜川で川下り船が転覆し、5人が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた当時の安全統括管理者ら3人に対する判決が16日、静岡地裁であった。佐藤正信裁判長は、過去に同じ水域で船が回転する事例があったとし、「(事故は)予見可能だったのに回避する義務を怠った」などと述べ、船を運航していた第三セクター天竜浜名湖鉄道の当時の営業課長、松野幸夫被告(58)に禁錮2年6カ月執行猶予4年(求刑禁錮2年6カ月)を言い渡した。

 船首で操船していた船頭の大畑茂雄被告(67)には禁錮3年執行猶予4年(求刑禁錮3年)、3人の中で唯一無罪を主張していた当時の船頭主任、小山正博被告(67)には禁錮2年6カ月執行猶予4年(求刑禁錮2年6カ月)を言い渡した。

 判決によると、11年8月17日午後2時過ぎ、乗客21人と、大畑被告と男性船頭(当時66)が乗った船が天竜川の岩場に乗り上げて転覆。2歳の男児を含む乗客4人と男性船頭が死亡した。

 争点は、3人が業務に求められる必要な注意を怠っていたかや、事故を予見できたかどうかだった。小山被告の弁護側は「船頭主任とは船頭たちのリーダーにすぎず、(小山被告に)安全管理体制を構築する義務はない」などと無罪を主張していた。

 佐藤裁判長は「危険な箇所だという認識があったのに、(過去に)事故が起こっていなかったため、安全対策や訓練を行っていなかった」と指摘した。

 県警は14年2月、5人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。うち3人が同致死の罪で起訴されたが、同鉄道の当時の社長は嫌疑不十分で、死亡した船頭は容疑者死亡で不起訴になった。(宮廻潤子)