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暮らしの中から:2 音楽

 いつの時代にも、戦況が厳しくとも、音楽は暮らしの傍らにあった。土山秀夫さん(91)は、戦時中もひそかにクラシックのレコード鑑賞を楽しんだ。その様子が2012年のナガサキノートに記されている。

 《外に音がもれれば「敵国のレコードを鳴らすとは何事だ」と怒鳴られる。音漏れせぬように蓄音機に布団をかぶせ、きょうだいで耳を寄せ合った。1945年7月末、土山さんきょうだいは最後になるという予感を覚えながら小さな音楽会を開いた。選んだのは、名バイオリン奏者と言われたフリッツ・クライスラーによるメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲だった。》

 異国文化の窓口だった長崎では、戦前のある時期まで、西洋の音楽は暮らしとともにあった。九州で初めての喫茶店とされ、いまも営業を続ける「ツル茶ん」。両親が営む店の2階で育った川村忠男さん(85)=13年に掲載=も音楽とともに育った。

 《店ではいつも蓄音機が洋楽を流していた。それが2階にも聞こえてきたため、小さい頃から川村さんのそばにはジャズやラテン、シャンソンがあった。長崎は、列強の租界(居留地)があった上海と航路で結ばれ、欧米のモダンな音楽や流行がいち早く届くという素地もあった。》

     ◇

 しかし、身近にあった音楽はやがて奪われていく。変わって登場するのが軍歌だ。子どもたちは遊びながら軍歌を歌った。木村徳子さん(81)=15年に掲載=は召集される父を軍歌で見送った。

 《父は赤いたすきをかけて、町…

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