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第6章「守るために」(2)

 児童相談所(児相)で虐待対応のワーカー(児童福祉司)になって4年目のケイコには、忘れられない光景がある。

 数年前のことだ。0歳と2歳の子どもを抱えた若いシングルマザーがいた。小粋なコートを着て出掛けるおしゃれな母親だったが、家ではネグレクト(育児放棄)状態だった。

 保健師が何回も家庭訪問したが、母親に会えなかった。中から異臭がすると児相に連絡があり、立ち入り調査をした。

 ドアを開けると、部屋の中はゴミだらけ。腐臭が鼻についた。台所には山積みの食器や食べ残し。床には黒ずんだ布団やゴミ、衣類、ミルク缶が散乱していた。その中に子どもがいた。

 2人とも全身汚物まみれ。パジャマは茶色になっていた。衰弱しきっていて、どちらも「あー」とも「うー」とも声をあげることさえできなかった。

 緊急保護し、いま2人は児童養護施設で暮らす。「私の経験ではこれが一番ひどかった。あのままだったら、死んでいた」と振り返る。

 ケイコは大学を出て別の仕事をしていたが、子どもが虐待死するニュースを見て「自分が救う側に回りたい」と、この世界に飛び込んだ。子どもの保護に飛び回る中で、自分の担当ケースでいつ死亡事件が起きてもおかしくないと感じている。

 「もしかしたら子どもが亡くなるかも」。そんな不安や緊張を強いられる児童相談所のワーカーたち。親から怒鳴られることも珍しくない。それでも「子どもにとっての最善の利益」を考えて日々、奮闘している。

 少し前、小学校低学年の男の子…

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