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 南国の地方銀行・鹿児島銀行が、変身しようとしています。銀行員がタマネギ農家に? 病院経営者をうならせる市場分析システムって? 銀行にとって厳しい経営環境が続くなか、色々な業界の専門家を育て、「総合商社化」して勝ち残ろうとしているのです。

 薩摩半島といえば、南国・鹿児島県の西側の方だ。その「へそ」付近にある日置市の小さな畑で、昨秋、タマネギの初作付けがあった。黒いビニールで覆われたうねに、タマネギの苗を、ぎこちない手つきで、一つずつ。

 「しゃがみ続けて足がしびれる。農家の仕事は大変ですね」。作業服にゴム長を履き、そう笑う吉満隆裕さん(46)は、鹿児島銀行の支店長から農業に転身したばかりだ。といっても脱サラしたわけではない。鹿銀が立ち上げた農業法人「春一番」の社長に出向した。

 同じく鹿銀出向の部下2人も含め、農業はずぶの素人。今は地元の農業大学校のセミナーを受けたり、県内外の農家を訪ねて見学したりして勉強している。ただ、のんきに構えているわけではない。経営計画では付加価値の高い野菜を出荷し、農地を広げ、5年後には黒字化を目指すことになっている。吉満さんは「鹿銀は農業を成長分野と位置づけている。ここはその最前線。早く事業を軌道に乗せたい」と話す。

 春一番の資本金は5千万円。このうち6割超を鹿銀と、同行などが設立したファンドが出資した。銀行による農業法人への出資は、三井住友銀行などが出資したコメの生産を手がける「みらい共創ファーム秋田」(秋田県大潟村)があるが、行員が出向して農作業をするのは異例だ。

 鹿銀内部でも、春一番は驚くべき出来事だった。支店勤務の次は本部のしかるべき部署に――。鹿銀の人事はそういうルートが一般的で、現役の支店長が新設の会社に出向するのはにわかには信じられないこと。昨年9月の支店長会議で上村(かみむら)基宏頭取がこの人事を発表すると、場はざわついた。「頭取が冗談を言った」と受け止めた人もいたという。

 前例を打ち破り、あえて春一番に働き盛りの管理職を出向させた鹿銀。その狙いは農協に負けない農業経営のプロを内部で育て、農業金融の世界に風穴を開けることにある。

 鹿児島県は全国3位の農業産出…

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