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「わしは忙しいんや!」

(アルツハイマー病の母の見守りを頼んだときの兄の言葉)

 

 父が他界した後、兄は結婚して実家を出ていましたので、わたしは母と一緒に暮らしていました。

 2004年、当時70代だった母の異変に気づきました。母はアルツハイマー型認知症と診断されました。看護師として病院で仕事しながらの在宅介護。わたしは、その難しさを痛感しながら、少しずつできないことが増えてくる母と2人で生活を続けました。

 仕事の都合で2日間、自宅をあけなければいけなくなったので、母の介護(といっても、見守りですが)を兄に電話でお願いしたときのことです。

 「わしは忙しいんや!」

 話も終わっていないのに、一方的に電話を切られてしまいました。わたしが暇だというのでしょうか。信じられない一言でした。兄も医療関係の仕事をしています。忙しいのは、兄だけではありません。

 このとき、わたしは、兄を頼ってはいけないと思いました。期待をしてはいけなかったのです。つらいのか、悲しいのか、むなしいのか……。誰にこの思いを伝えたらいいのかすらわかりませんでした。母は5年前に亡くなりましたが、あのときのこころの痛みは消えません。

◆福井県 看護師女性(50歳)

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 朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係

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