[PR]

 人事課長が隠蔽(いんぺい)に加担、早稲田大への口裏合わせ依頼……。文部科学省の「天下り」あっせん問題で、20日に発表された内閣府再就職等監視委員会の調査結果からは、官僚トップ自らの関与に加え、組織的に規制違反の発覚を免れようとした行為も浮かび上がった。

 「最初に事実を見た時には驚いた。現在までの調査の中で、こうした組織的なものが発覚したのは初めてということになると思う」

 20日午前、東京都内で記者会見した再就職等監視委員会の担当者は、こう語った。文科省での組織的な天下りは、再就職あっせんなどを規制した改正国家公務員法施行直後の2009年ごろから行われていたという。

 監視委は、調査時に同省の人事課職員が「天下り」に関する事実を隠蔽した行為について「想定問答を作成し、関係者間でメール、電話などで調整していた」などと説明。こうした行為の報告を受けた人事課長は、監視委の調べに対し、「隠蔽行為に加担した」と認めたという。

 今回の監視委の調査では、同省の組織的なあっせんの仕組みも明らかになった。人事課は、同課のOBに、大学からの求人情報、退職予定の職員や文科省OBの個人情報などを伝え、再就職につなげていたという。

 こうした仕組みについて監視委は「法が定める再就職等規制違反を免れる目的で構築し、運用していた」と認定。監視委は、前川喜平事務次官もこの仕組みを使って再就職あっせんに関わっていたことを確認した。

 会見で、前局長の早大への再就職について、報道陣から「再就職の働きかけは文科省の人事課が最初に打診したのか」と問われると、監視委は「前局長自身が退職前に、履歴書を人事課職員と一緒に作成して研究業績をまとめ、職員から『先方と調整致します』というメールを受け取ったりしていた」と説明。履歴書は人事課職員が早大側に提出していたという。

 大学の関与については「証拠書類、証言から、文科省に対し再就職の依頼、要求があったことは確認できていない」とした。

 今後の対応について、監視委の担当者は「文科省から適宜報告をもらい、監視し続けながらやっていく」と話した。

文科相「おわび申し上げる」

 松野博一文部科学相は20日、閣議後の記者会見で「文部科学行政の信頼を著しく損ねたことをおわび申し上げる」と陳謝した。今年度内に再発防止策を講じる考えを示した。

 再就職あっせんへの組織的関与や、規制違反に問われることを避けるための隠蔽(いんぺい)については「省全体として規制への理解が不十分だった。違反行為を例示しつつ、職員を対象に研修を行いたい」と話した。

     ◇

 〈「天下り」問題に詳しいジャーナリストの北沢栄さんの話〉 局長や審議官ら幹部が関わっている点で、組織的で悪質だ。今回の問題は氷山の一角だろう。法改正により、国家公務員の天下りは一度は厳しくなったが、再び意識が低くなってきたように感じる。他の省庁も厳しく点検すべきだ。特に再就職等監視委員会のような第三者の立場でチェックすることが重要。今後は監視委の役割を強めていくことも必要だ。