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 震災の津波で大破しながらも、片足で立ち続けていた「自由の女神」像が、東京・上野の東京芸術大に展示されている。像を譲り受けた芸大生、村上愛佳(まなか)さん(23)の「作品」だ。石巻から仙台、そして東京へ。女神像は震災遺構の意味を問う旅を続ける。

 もとは石巻市中瀬の公園に立っていた。震災の直後は「復興の象徴」とみる人がいたが、傷みがひどくなり、3年後、半分に切断して撤去された。やがて人々から忘れられた。

 村上さんは仙台市出身。卒業制作で「震災」を表現しようと考え、昨年、像を所有者から譲り受けた。今回、芸大の卒業・修了作品展のため、仙台から東京までトラックで運んだ。

 女神像は、震災遺構なのか――。

 石巻の人たちは、「石巻らしさがない」などの理由で、多くの人が「残すべきでない」と考えていた。他方、卒展会場に来ていた美大生、川窪花野(かのん)さん(19)は「東京では忘れかけていた震災を、思い出させてくれる。石巻でなくここにあることで新たな価値を持つと思う」と言う。

 卒展は31日まで。女神像は再び仙台に戻る。村上さんはほかでも展示する機会はないか、探している。(石橋英昭