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老いの現場を歩く:3(マンスリーコラム)

 神奈川版の連載「迫る2025ショック」の取材で最も考えさせられたのが、口から食べられなくなった患者の家族が、胃ろうをつけるかどうか悩んだプロセスを描いた「胃ろうの選択」(2014年9月掲載)だった。取材しながら、常に「自分自身なら……」「自分の親なら……」ということを考えていた。

 胃ろうは、加齢や脳梗塞(こうそく)などの後遺症でのみ込み(嚥下=えんげ)機能が落ちて食べられなくなった患者向けに、胃に直接穴を開けチューブで栄養を入れる方法だ。全日本病院協会の10年度の推計によると、全国の胃ろう造設患者数は約26万人。元々は、障害のため口から食べられない子どものために開発された人工栄養法だった。日本では、介護保険が始まった00年前後から高齢者に急速に使われるようになった。鼻からチューブで栄養を入れる方法などに比べ患者の不快感が少なく、長時間使用できるメリットがあるからだ。

 ところが「平穏死」「自然死」をテーマにした書籍が話題になった10年ごろから、「老衰で死期が迫っている患者に安易に造るケースがある」などと批判が高まってきた。一方で胃ろうにして栄養補給しながら、のみ込みの訓練をすれば、口から食べられるようになる可能性もある。

 一度つけた胃ろうは、口から食べられるようにならない限り、外すことは極めて難しい。栄養が摂取できなくなれば、死に直結するからだ。ただ将来、口から食べられるようになるかどうかの予測は医師でも難しく、患者・家族は選択に悩むことが多い。

 連載の取材で私は、悩んだ末に胃ろうをつけた家族と、つけなかった家族の両方に取材することができた。その二つのケースを紹介したい。

「夫婦の時間、取り戻せた」

 まず、胃ろうをつけた家族のケースから――。横浜市神奈川区に住む大垣佐智子さん(81)は、胃ろうをつけた夫、進さん(享年82)を約3年半にわたり在宅介護した。

 進さんは、こんな経緯をたどっ…

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