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 日本映画が中国で続々と公開されている。日中関係の悪化で一時期はゼロだったが、昨年は2000年以降では最多の11本が公開。アニメ「君の名は。」の興行収入は中国での邦画の最高記録を更新した。世界2位の映画市場に、日本政府も熱視線を送るが、規制や政治といったハードルはまだ高い。

 「何にも余計なものが混じっていない純粋なラブストーリーに最も感動した。現実は映画と異なり、愛だけではダメで、お金が必要だから」。中国南部・広州の映画館で「君の名は。」を見た女性(31)は感想を語った。

 中国では昨年12月2日、「君の名は。」の公開が始まった。日本映画としては最大規模の6万7823スクリーンで公開、好評のため2月2日まで延長された。中国の映画サイトによると、興行収入は約5億7700万元(約95億円)。中国で公開された日本映画の最高だった「STAND BY ME ドラえもん」の約5億3千万元を抜いた。

 記録的なヒットの背景には、若い男女の淡い恋心を描いたストーリーが競争や格差が激しい中国社会を生きる若者の共感を得たことなどがあげられている。さらに異例の「スピード公開」も指摘されている。

 中国では、外国映画は当局の審査を受ける。日本で封切り後、半年や1年たってから公開されるのが一般的だが、「君の名は。」は約3カ月後。日本での好評ぶりがソーシャルメディアなどを通して中国で拡散し、ファンの期待値が高まった好機に上映が始まった。日本の映画関係者の間では、中国の映画市場の成長が鈍っているため、ヒットが見込める日本作品でてこ入れを図ったとの見方もあるが、「当局から明確な説明がなく、基準がわからない」という声もでている。

消えない政治リスク

 中国では、公開される外国映画数に上限(60~70本程度)がある。これまでは米国の映画が多くを占め、残る枠を激しく争奪してきた。そこで、日本の映画業界は中国で「国内映画」として扱われるリメイクや合作といった形でも進出を試みている。山田洋次監督の「家族はつらいよ」の中国版リメイク作は今春公開され、150億円をかけた日中共同制作の「空海―KU―KAI―」が染谷将太主演で18年公開に向けて制作が進む。

 日本政府も昨年11月、映画輸出を後押しする会議を立ち上げた。日本映画製作者連盟の岡田裕介会長(東映グループ会長)は「中国には検閲の問題、日本映画を上映するときの抵抗があったが、色んな形で払拭(ふっしょく)されている。国対国のレベルでも話してもらいたい」と期待する。

 だが、政治リスクは消えない。尖閣問題で外交関係が悪化した13、14年、日本映画の公開はゼロだった。韓国は14年、中国での映画公開が有利になる提携を結んだが、米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の韓国配備をめぐって対立を深めると「蜜月」は終わり、昨年は合作などを除いて公開が認められなかった。

 日本の映画関係者は不安を隠せない。「政治に振り回されるのが中国の映画市場。日中関係が悪化すれば、韓国の二の舞いになりかねない」

■アニメ…

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