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 都会とは違う別の働き方があってもいい――。九州の北東端にぽっこりと突き出た国東(くにさき)半島の過疎化が進む小さな集落。ここで廃校になった小学校を社屋にする「アキ工作社」(大分県国東市)が週休3日制を始めたのは、2013年6月のことだ。その思いは、地域に広がった。

 段ボール製の模型などを製造販売するアキ工作社は、米グーグル社や世界的ブランドへの納入実績もある従業員8人の会社だ。

 営業を担当する森山長英(43)には、週末3日間の休み方に流儀がある。2日間は家族とゆっくり。残る1日は自社製品の売り場を見るため、各地を巡る。「客目線で回ると、各店の売り方から発見も多い」。かつて勤めていた大阪の会社では、終電帰りの毎日だった。いまは金曜を休んでも「営業的には機会損失は感じない」と言い切る。

 「東京と国東では生き方も別々でいい。国東らしい豊かな生活ができるよう、ビジネスも組み立て直そうと考えた」と、社長の松岡勇樹(54)は言う。週休3日を導入したきっかけは、売上高が初めて前年割れしたことだ。「たくさん作ってたくさん売れば、売上高は増える。だが従業員のモチベーションは下がる」と考えた松岡がひらめいたのが、「たくさん働かない」という逆転の発想。「従業員はスキルアップや地域貢献のために時間を使って欲しい」。それが仕事の効率化や創造力のアップに還元され、業績向上にもつながるという理屈だ。

 思い立ってすぐ実行に移した。月~金に1日8時間働いていたのを、月~木の1日10時間に。同じ週40時間勤務で給料は変わらないが、残業が減り、実質的な労働時間は約2割減った。当初は金曜日にも取引先からの注文の電話やファクスが鳴ったが、半年かけ理解を得た。導入した年の売上高は前年比で27%も伸びた。この3年余り、業績へのマイナスの影響はないという。

 高齢でも働けるように定年制も廃止した。過疎と高齢化が進む国東で豊かな生活を維持するための新しい働き方を、松岡は「国東時間」と名付けている。自身も、休日を地域活動に使う。14年に社屋前の元運動場を利用した新たな祭りを企画し、約600人が集まった。今年も開き、地域を盛り上げるつもりだ。

 古民家で地元食材を使った創作…

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