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「看られるばあちゃんのほうが、よっぽどつらい」

(寝たきりの祖母を長く介護していた母の言葉)

 母は、リウマチで長く寝たきりの祖母をずっと家で介護していました。

 リウマチで指は変形して、足はひざが曲がったままだった祖母。ベッドの上で寝たり起きたりするのが精いっぱいでした。オマルに排泄(はいせつ)して、私たちもそれをトイレに捨てに行ってました。田舎なので水洗トイレなんてありません。

 体は動かなくても頭はしっかりしていました。私たちには優しい祖母でしたが、嫁である母にはけっこう厳しいことも言ってました。

 中学生の頃、一度、母に「お母さん、ばあちゃんのこと絞め殺してやろうかって思うことないん?」と聞いたことがあります。

 そのとき母は言いました。「看(み)られるばあちゃんのほうが、よっぽどひどい(きつい、つらいという意味の方言です)。看るほうがよっぽど楽だ」。そして「それでも自分が死んだら楽になるかなぁと思ったことはあるよ」とも。

 祖母は、最後は施設に入りました。家では風呂に入ることが難しくなり、実の娘(母にとっては小じゅうと)の「施設に行けば風呂に入れる」という言葉に応じました。母は「私が言っても入らんやったやろうね」と言ってました。施設では、周りに嫁と言っても信じてもらえなかったそうです。毎日のように自転車で通ってきていたから。

 亡くなった父の介護をしたのも母でした。

 もし母が介護を必要とするようになったら、なんとか私が介護しようと思っています。母はきっと看られたくはないんでしょうけど。

◆福岡県 公務員 50代女性

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 朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係

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