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 長崎の被爆者を親に持つ「被爆2世」25人が20日、2世への援護策をとらなかった国の責任を問い、1人あたり10万円の慰謝料の支払いを国に求めて、長崎地裁に提訴した。被爆者には医療費負担など国の援護策がある一方で、放射線の遺伝的影響が懸念される2世が援護の対象になっていないのは不平等で憲法違反だと主張。対応を怠ってきた国には「立法の不作為がある」と訴えている。

 今月17日に被爆2世で初の集団訴訟を広島で起こした「全国被爆二世団体連絡協議会」の22人に続く集団訴訟で、今回提訴したのは長崎、福岡、大阪、広島の4府県の49~70歳の男女。

 被爆者援護法では被爆者に医療費の自己負担分などが支給されるが、2世については、国は被爆の遺伝的影響を認めず、援護対象としていない。援護法とは別の措置として、年1回の健康診断を実施している。

 訴状で原告側は、「放射線は少量でも遺伝的に有害」とする日本遺伝学会・日本人類遺伝学会の指摘など、放射線の遺伝的影響が示されてきたにもかかわらず、「国は2世への援護策をとってこなかった」と主張。協議会会長で原告団長の被爆2世、崎山昇さん(58)=長崎市=は「法に基づく2世への援護策を国に求めてきたが、被爆から70年が経っても実現していない。裁判を通して問題の所在を明らかにし、立法の契機にしていきたい」と話した。厚生労働省の原子爆弾被爆者援護対策室は「訴状が届いていないので、現時点ではコメントは差し控えたい」としている。

 提訴後、長崎市で開かれた集会では、被爆2世の原告が放射線の遺伝による影響への不安を語った。野口伸一さん(69)は弟を26歳で急性白血病で亡くした。「入院から1週間で亡くなった。絶対に原爆のせいだと悔しくなった」。自身も脳梗塞(こうそく)を患い、昨年は胃がんが見つかった。「なぜこんなに病気で苦しまないといけないのか」

 阪口博子さん(67)は被爆した母が59歳でがんを発症して5年後に亡くなり、被爆2世を強く意識したという。「母の年齢を過ぎ、自分がいつ、がんになるかと不安を感じる」。中山幸司さん(67)も9年前にがんを発症した。「遺伝の影響が絶対にないとは言えない。2世でも亡くなった人や病気で悩んでいる人が周りにたくさんいる」と訴えた。(山野健太郎)