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 3月8日は国際女性デー。漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんは「自分の中の『男性』と『女性』を自由に行き来すればいい」と説きます。

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 小学生の頃は、女子のヒエラルキーの最底辺にいました。分厚いめがねをかけて運動が苦手。男子の視線を意識して「プールで泳いでいる時の息継ぎの顔が気持ち悪がられているんじゃないか」と思い込み、泳ぐのも嫌でたまらなかった。

 「見た目でジャッジされない社会に行きたい」と「プールのない女子校」を目指して必死に勉強。入学した女子学院中学・高校では、人気は見た目というよりも、リーダーシップや話の面白さで決まっていました。私もすっかり自由に振る舞うようになり、外見で悩むことはほとんどなくなりました。男子のいない世界では、女子は、本当に伸び伸びと、クリエーティブに生きられるんですよね。

 中高生時代に「女子力」が育たず、若い頃は「アクセサリーってなんのためにあるの」と思っているくらいでしたが、30代になると、オーガニックのコスメやマッサージ、まつげパーマといった美容関係に興味が出てきました。

 化粧や服装が変わると、お店でも、仕事場でも扱いが変わるのに驚きました。今は「処世術」ではなく、素直に女性ならではの楽しみを味わえるようになりましたね。

 トランプ・米大統領の娘、イバンカさんのファッションは、適度にシェイプされていながら清楚(せいそ)さを残した絶妙なバランスで、「男性を喜ばせる装いや振る舞いが、女性の立場を高めていく」というメッセージを、自ら発信しているようにみえます。

 「量産型女子」という言葉がありますが、今の女子たちは悪目立ちせずに、適度にかわいらしさを保ち、場に見合った清楚(せいそ)な振る舞いをすることが求められ続けています。男性からの視線を感じて、振る舞い続けるのは疲れますよね。

 霊界には男女の区別がないといいますが、私は、人間も同じで、同じ人間の中に「男性性」と「女性性」が同時に存在していると感じています。「頑張りすぎると、ひげが生える」と言いますが、頭がボサボサでも気にもとめずに仕事に集中している時は「男性性」が出ている気がします。

 トークイベントやラジオ番組などで「好きな体位は?」とか、突然性的な話題をふられることもあります。変に恥ずかしがると相手の劣情を刺激してしまうので、自分の中の「男性性」を引き出してさらっと乗り切るようにしています。

 「女性だから生きにくい」「つらい」と悩むより、時と場合によって「女性」と「男性」を縦横無尽に行き来できるようになれば、ずいぶん生きやすくなるのではないでしょうか。

 女子へのメッセージですね……。

 「女子力をバージョンアップさせると 妖力になります」でどうですか(笑)。

 妖力とは、直感力とか魔力。自分の必要なものを引き寄せ、思い通りにする力です。コスメでもアロマでも、内面でも「男性にどう思われるか」ではなくて、自分が好きだと思うことを追求してほしい。出世や収入といった男性社会の力関係を超えたところで必要なものを引き寄せられる力が身についていくと信じています。かくいう私も「妖力」を求めて修行中です。(聞き手・市川美亜子

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 しんさん・なめこ 1974年東京都生まれ。漫画家、コラムニスト。女子学院中学高校出身。著書に「女子の国はいつも内戦」「女子校育ち」など女子校に関する著書も多い。近著に「大人のコミュニケーション術~渡る世間は罠(わな)だらけ」。

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