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 治療を続けることが難しくなった患者の強い痛みを取り除くだけと誤解されやすい「緩和ケア」。今では、がんと診断されたときから、治療を受けた病院を離れて自宅や施設で過ごす段階まで、いつでも受けられるものという考え方が広がってきた。体やこころ、生活のつらさを和らげ、患者と家族が自分らしい生活を取り戻すための取り組みが各地で始まっている。

地域の医療 連携して支援

 2月上旬。広島県尾道市のJA尾道総合病院の病棟内の会議室で、肺がん患者の男性(77)の退院に向けての検討会が開かれた。

 「住み慣れた自宅の2階で暮らしたい」。男性の強い希望のためにどうしたらよいか、家族や主治医、在宅医、看護師、薬剤師ら約20人が病状や投薬、栄養状態をもとに話し合った。

 男性は年末に肺炎を患い、常に酸素吸入が必要。病院では車椅子で、自力で動ける範囲はわずか。このため、病院の理学療法士は1月から男性のリハビリを開始。「最初は話すのがやっとだったが、今は15メートルほどは動ける」と説明した。

 在宅医の片山寿医師は、家族から男性が階段を上り下りできるか、移動はどんな補助がいるかを尋ね、「(少しでも動けるよう)訪問リハビリをしましょう。ベッドは介護用にできればしてほしい」と家族に提案した。家族は、自宅を改装して階段昇降機をつける予定だ。準備が整えば試験的に自宅に泊まり、様子を見て退院を目指す。

 「自宅2階で暮らしたい」という男性の思いに沿うのも緩和ケアの一環だ。日本緩和医療学会理事長の細川豊史・京都府立医大教授は「患者と家族の生活の質を改善するものととらえてほしい」という。

 カギを握るのが「地域連携」だ。尾道地域は、がんに限らず、自宅に戻りたいと希望する患者が地域で暮らしやすいように、総合病院や在宅医、訪問看護師、ケアマネジャーらが日ごろから連絡を取り合う仕組みを20年以上にわたって築きあげてきた「先進例」だ。

居住地で差も

 だが、地域差もある。

 東京都内の会社員の男性(52)は13年前に胃がんと診断されてから6回の手術を経験、昨秋に治療をやめた。自宅で過ごしたいと、緩和ケアを希望する通院患者を受け入れる病院を探したが、都内には数カ所だけで、不便さを感じた。「自分はなんとか探せたが、他の人はどうだろうか」

 男性の主治医によると、緩和ケア科の受診は、同じ病院のほかの診療科や、ほかの病院から紹介を受ける例が大半だが、「治療した病院の退院時に医療機関のリストを渡されただけ」という患者もいるという。

 厚生労働省は都道府県単位で連携を手助けする調整員を育てようと、医療スタッフ向けの研修会開催などの支援を始めている。

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 緩和ケアは、副作用の症状軽減…

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