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 中国の全国人民代表大会(全人代、国会にあたる)が5日、北京で開幕した。李克強(リーコーチアン)首相は政府活動報告で、今年の国内総生産(GDP)の成長率目標を「6・5%前後」とすると表明した。目標を引き下げるのは3年連続。高成長を保つための過剰な投資がバブルを生むことを警戒し、今秋に最高指導部が入れ替わる共産党大会を控え、「安定重視」を強調した。

 中国政府は景気を下支えするため、企業がお金を借りやすくする利下げなどの金融緩和を続けてきた。その結果、投機資金が流れ込んだ不動産市場で価格が高騰。非効率な国有企業まで借金を急速に増やしている。

 バブルに近い状況から変調が生じれば、一昨年のように、中国発の株安が世界の金融市場を混乱に陥れた事態の再現ともなりかねない。できるだけリスクを減らしたい事情もあり、昨年は「6・5~7・0%」だった成長率目標を、政権はさらに引き下げた。

 一方で、景気が過度に落ちこんで社会不安が高まることも避けたい考えだ。さらなる金融緩和には慎重な見方を示す一方、財政政策を「より積極的、効果的にする」とし、GDP比で3%程度の財政赤字を許容して企業の減税などを進める。雇用目標も「都市部の新規就業者数を1100万人以上」とし、前年から100万人引きあげた。

 党大会を控え、政府活動報告でも2期目を迎える習近平(シーチンピン)国家主席(党総書記)への結束が呼びかけられた。李氏は、昨秋の第18期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で、正式に習氏を別格の存在である「党中央の核心」と位置づけたことに触れ、「人民の根本的な利益を表し、国の発展と社会の安定を保証するもので、重大で深い意義がある」と説明した。

 また李氏は「香港独立に前途はない」「いかなる方式や名義によってであれ、台湾を祖国から切り離そうとする者は決して許さない」とも強調。中国政府の立場に反対し、民主を求める動きを強く牽制(けんせい)した。

 さらに、反腐敗や脱貧困の取り組みなど昨年の成果を報告する中で「習氏を核心とする党中央の正しい指導の結果だ」と称賛。「習氏を核心とする党中央のもとにさらに団結し、心を一つにして努力しよう」と報告を締めくくった。(北京=斎藤徳彦、延与光貞)

政府活動報告の骨子

・習近平総書記が「党の核心」になったことは、国の発展と社会の安定に重大な意義

・今年の経済成長目標は6.5%前後

・昨年の3割増しの資金を投入し、農村の貧困人口を1千万人以上減らす

・新たな都市化と戸籍改革を進め、1300万人以上を都市部に定住させる

・大気汚染対策を強化し、青空を増やす

・領空・領海での軍管理を強化

・「一国二制度」は貫徹するが、香港独立に前途はない。台湾独立の動きも徹底して反対

・保護主義に反対し、経済のグローバル化がより公正な方向に向かうよう主導する