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襲撃事件資料室から:6

 軸の真ん中より下の部分に弾が当たり、ゆがんでいる。できた穴は11個。表面はひしゃげ、銀色の輝きを失っている。

 犬飼兵衛記者が取材で使っていたステンレス製ボールペン。目出し帽の男に散弾銃で撃たれたとき、上着の左の内ポケットに入れていた。横に並べられた同型のものと比べると、2、3メートルの距離から放たれた散弾の威力が分かる。

 犬飼記者は200個以上の散弾粒を浴びた。右手の小指と薬指を失い、左ひじや腹部にも鉛の粒がめりこんだ。そのうちの1個は心臓まで2ミリのところで止まっていた。このボールペンと、一緒にポケットに入れていた財布が、「盾」となって致命傷になるのを防いだ。

 事件から1年後、犬飼記者は兵庫県淡路島の洲本支局長として現場取材に復帰した。暴力は「ペン」を折ることができなかった。