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 国連のグテーレス事務総長が8日の国際女性デーに際し、朝日新聞など各国の主要メディアに寄稿した。全文は次の通り(原文は英語)。

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 女性の権利は人権である。しかし、世界が今まで以上に先行き不透明で、混沌(こんとん)としているこの時代に、女性と少女の権利は縮小され、制限され、そして破棄されている。女性と少女たちをエンパワーすること、つまり彼女たちを力づけることこそが、女性の権利を守り、彼女らの可能性を最大限に発揮させる唯一の道だ。

 男女の力関係は歴史的に不均衡だったが、社会や国々の間で広がりつつある不平等によってさらに悪化し、女性と少女たちへの差別を拡大させている。世界中で、伝統や文化的価値、宗教が女性の権利を縮小させたり、性差別を固定化させたり、女性を嫌う習慣を守ったりすることに悪用されている。

 女性の法的な権利は、どの大陸においても男性の権利と平等であったことはなく、今も損なわれ続けている。女性の体に関する権利も傷つけられている。女性たちは、サイバー空間においても、現実世界においても、日常的に脅しとハラスメントの対象になっている。最悪の場合、過激論者やテロリストたちは女性と少女たちを従属させるというイデオロギーを作りだし、性的暴力を加え、強制的に結婚させ、事実上の使役につかせる。

 いくつかの改善はあったものの、時代錯誤の考えと凝り固まった排他主義によって、指導的立場はまだ男性によって占められ、経済的なジェンダーギャップ(男女格差)は広がっている。私たちはこれらを変えなければいけない。そのためには、すべてのレベルにおいて女性を力づけ、彼女たちの声に耳を傾け、女性たちが自分自身の人生と世界の未来をコントロールできるようにしなければいけない。

 女性と少女たちの権利を否定することは間違いであるばかりでなく、社会的、経済的に深刻な影響を与える。性差が平等になれば、コミュニティーと社会、経済は完全に機能するよう変化していくだろう。

 教育と健康に関するサービスを女性が受けることは、彼女の家族と、次世代のコミュニティーに利益をもたらす。女性が学校で学ぶ時間が長くなれば、彼女の将来の収入は25%も増えるかもしれない。

 女性が完全に労働に参加できれば、機会をつくりだし、成長を生み出す。雇用面で性差がなくなれば、2025年までに世界のGDPは12兆円も増えるかもしれない。公的機関で女性の割合が増えれば、女性たちの代表が存在することになり、改革が促され、政策決定は改良され、社会全体が恩恵を受けるだろう。

 性差が平等になることは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中心であり、我々が直面する課題に対応するためにすべての国々のリーダーが同意した計画に沿ったものなのだ。持続可能な開発目標(SDGs)の第5は性差の平等と全女性のエンパワーメントを掲げ、これはSDGsの中心に据えられている。

 私は、私たちの平和と安全に関する活動において、女性の参加を増加させることを約束する。女性の交渉者は持続可能な平和の機会を広げ、女性による平和維持活動は性的搾取と虐待の危険を減らすことだろう。

 国連内で、私は男女平等を達成するための明確なロードマップを、基準を設けて作成している。そうすることにより、国連は奉仕する人々を本当に代表することができるからだ。これまでの目標はまだ達成されていない。今こそ、私たちは野望を抱くことから行動に移すことへ、歩を進めなくてはならない。

 国際女性デーの今日、凝り固まった偏見に打ち勝ち、約束と行動主義を支援し、男女平等と女性のエンパワーメントを促進させるため、できることすべてをすると、共に誓おう。