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 「不良な子孫の出生を防止する」ため、病気や障害を理由とする不妊手術や中絶を進めた旧優生保護法。日本弁護士連合会は2月22日、国に被害者への補償などを求める意見書を出しました。法律は変わりましたが、障害者らの出産や子育てへの偏見は残り、今なお苦しむ人たちがいます。

 「2016年に相模原市の施設で起こった障害者殺傷事件は、私たちの社会に優生思想と障害者への差別・偏見が根強く存在することを痛感させました」

 日弁連の意見書を受け、市民団体「優生手術に対する謝罪を求める会」は声明を出し、指摘した。会は、不妊手術の被害者として15年に日弁連へ人権救済を申し立てた女性(70)を支援している。声明は、被害者への謝罪を通じ、優生思想や差別をただす努力するよう国に求めた。

 この問題では、昨年3月に国連女子差別撤廃委員会が、被害者への補償などを日本政府に勧告した。

 神戸市の藤原久美子さん(53)は、委員会の事前作業部会や審査に合わせてスイスに渡り、障害者の出産や子育てが今も疎まれる実情を委員らに説明した。

 藤原さんは糖尿病の合併症で34歳のときに左目を失明、右目も見えづらくなった。40歳で妊娠した際、医師や母に中絶を勧められた。「育てられるのか」「病気の影響で障害児が生まれる可能性がある」。藤原さんは泣きながら「絶対に嫌」と言い続けた。

 障害者は生まれてこない方がいいのか。障害のある自分も世の中にいてはいけないのか。自分とわが子のどちらも否定されたと思った。

 生まれた娘の手足は羽二重餅のようにやわらかく、いとおしかった。娘に障害はない。夫と、親や介助者の力も借りて育てた。娘に音の鳴る靴を履かせて出かけるなど工夫した。11歳となった娘は、外を歩く際に藤原さんに「段」と知らせてくれる。

 藤原さんは「障害があったとしても、それ自体が不幸ではない。子育てできないなどと決めつけ、奪うことが障害者を不幸にしている」という。「中絶を勧めたのは、私の体調や生活を心配しただけのつもりかもしれない。それは差別で、障害者を生きづらくさせることを、私たちも伝えていかなければいけない」

「産むべきではない」風潮

 障害のある女性が中心に活動する「DPI女性障害者ネットワーク」が12年に発表した「複合差別実態調査」には、出産や子育てに関する訴えも多かった=表。

 脳性まひのある富山市の福田文恵さん(56)は40代はじめに子宮内膜症と診断され、医師から子宮も卵巣も全摘出するよう言われた。拒むと治療せずに何年も放置された。「障害者は産まない、産むべきでないと思っているから」と感じている。

 立命館大生存学研究センター客員研究員の利光恵子さん(63)は「障害者はそうでない人より、標準的な医療を受けられない傾向が強い」と話す。「優生思想に基づく差別や偏見、支援のなさから、障害者が子を持ち育てることの困難は変わってない」

 出産前に障害の有無を調べる出生前診断など、新たな問題もある。

 遺伝性の骨関節疾患を持つ40代の女性は、この病気の出生前診断を待ち望む患者が多いことにショックを受けた。女性はひざなどの関節に骨腫ができ、痛みがある。曲がった足に心ない言葉を浴びたことも。患者が遺伝の可能性から相手の両親に出産を反対されたり、中絶したりしたのを見聞きしてきた。

 だが、命を選び、それが自分自…

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