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 核兵器を歴史上初めて、法的に禁止できるのか。核保有国が参加しない禁止条約の実効性は――。

 「核兵器禁止条約」の交渉が3月27日から、米ニューヨークの国連本部で始まる。昨年の国連総会(193カ国)決議で、メキシコやオーストリアなどの非核保有国を中心に113カ国の賛成多数で交渉入りが決まった。だが、核不拡散条約(NPT)が保有を容認する米ロ英仏の核保有国とともに、日本などの「核の傘」国(核抑止に安全保障を依存する国)のほとんどは決議に反対票を投じた。日本政府は、今回の交渉会議への参加も可否の決定に苦慮している模様だ。

 一方、核兵器廃絶をめざす世界の都市が加盟する「平和首長会議」(会長=松井一実・広島市長、162カ国・地域の7223都市が加盟)は14日、国連の全加盟国の大使や国連事務総長らに、交渉への積極的参加を求める公開書簡を送付。「被爆者にとって核兵器は非人道兵器の極みであり、絶対悪」とし、「核兵器の法的禁止こそが(核兵器を完全に消滅させる)目標に向けての不可欠な転換点になる」と訴えている。

 平和首長会議の事務総長として、元外交官の小溝泰義・広島平和文化センター理事長は交渉会議に参加する。10日、その展望を広島市立大広島平和研究所「核・軍縮研究会」の講演で個人的見解として語った。

     ◆

 これまで議論されている核兵器の法的禁止アプローチは、主に四つある。

①包括的核兵器禁止条約(Nuclear Weapons Convention:NWC)

②枠組み条約(Framework)

③ブロック積み上げ(Building Block)

④核兵器禁止先行条約(Ban Treaty)

 この中でメキシコやオーストリアなどの非核国や国際NGOの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)などが進めるのが④の禁止先行条約。これは、対人地雷禁止条約やクラスターの爆弾禁止条約といった、兵器の保有国抜きで成立した条約をモデルにしている。100カ国以上の非核国はここ数年、米ロ英仏中の5核兵器国は核廃絶を本気でやる気はないと判断し、核保有国が条約に入らなくても、とにかく核兵器を明確に「法的禁止」してしまおうという狙いで走ってきた。

 これは、2009年のオバマ米大統領のプラハ演説「核兵器のない世界」や、2010年のケレンベルガー赤十字国際委員会総裁の声明などをきっかけに高まった「人道的アプローチ」が基盤になっている。

 地球温暖化対策(COP議定書)などをモデルにした②の枠組み条約には、メキシコやオーストリアなどが乗らないと聞いている。枠組み条約という概念自体、核の全面禁止を先行して定める推進派の方針になじまないというのが理由のようだ。

 ただし、推進派が意図する、禁止条項だけで検証規定を含まない条約を、核抑止に依存する国が締結するとは考えがたい。これらの国が締結しない条約は、締約国を越えた規範的な法的効果を持つ見込みも薄い。検証措置などを検討する段階に入れば、核保有国の参加が不可欠になる。

 核兵器のない世界の実現には、日本政府などが提言する③ブロック積み上げ(包括的核実験禁止条約〈CTBT〉などの核軍縮の措置を一つずつ積み上げる段階的アプローチ)も必要。そして、議論の推進には、市民社会の貢献が重要だ。

 今回の条約交渉には核保有国と「核の傘」国のほとんどは参加しない見通しだ。北朝鮮が参加を検討しているという報道があるが、「政治的参加」でないよう願う。北朝鮮は実際には核軍拡をしようとしているのであって、その方針を転換するのでない限り、単純に歓迎はできない。

 核保有国や「核の傘」国(日本…

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