拡大する写真・図版 賢人ちゃんの遺影を前に語る甲斐有紀さん

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 東京都中央区の認可外保育所で昼寝をしていた1歳の男の子が亡くなった事故について、都の検証委員会が報告書をまとめました。この中で保育の質を向上させるための提言をしています。待機児童解消に向け、急ピッチで受け皿整備を進める政府と自治体にいま求められるのは何か。検証委員長の汐見稔幸・白梅学園大学長に聞きました。

「このままでは死亡事故増える」

 亡くなった甲斐賢人ちゃんは、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがあるとされるうつぶせで寝かせられ、職員がそばに誰もいない時間がかなりあった。賢人ちゃんの異変に気づくまでの間に、通りかかった複数の職員も、表情をしっかりと見たり、呼吸を確認したりしなかった。救命処置も満足に出来ず、経験の浅い職員だけで手探りで保育をしていた。

 今回事故が起きた園と、同じようなレベルの園はたくさんあるのではないか。待機児童が多い中、「保育所を開けば利用者はきてくれる」という考えのもと、質の確保を怠る園が増えている印象がある。

 毎年、十数人の子どもが保育園で亡くなっているが、このままではもっと増えかねない。行政は、認可園か認可外園かにかかわらず、子どもの命と人権を守る最低限の保育の原則を守るよう、厳しく園を指導していく必要がある。特に0~2歳児はとてもデリケートだ。病院でいい加減な診療が許されないのと同じで、保育所にもとても高い専門性と丁寧さが必要だ。

 質の高い就学前教育は、将来の所得向上や生活保護受給率の低下につながる、とのノーベル経済学賞受賞者の研究などから、欧州や東南アジアは乳幼児教育を重視し、保育の質の向上に取り組んでいる。

 日本の政治もこうした方向に向かうべきだろう。待機児童問題の解決のため、いま急ピッチで受け皿を増やしている一方で、質向上の指導が十分でなかった姿勢の改善が求められている。(聞き手・長富由希子)

    ◇

「省エネ保育」考え直して

 賢人ちゃんの母親の有紀さん(39)に思いを聞いた。

 検証委の報告は、日頃から保育の質が担保されていなかったことが事故につながったと指摘した。これまで事故は「たまたま」起きるもので、子どもに原因があるかのように扱われていたことからすると踏み込んだ意義は大きい。

 息子を預け始めたのは事故の1カ月前。20分以上泣いていても誰も抱っこせずに放置されていたこともあり、改善を求めたこともあった。危ないと感じていたのに、枠があと一つしかないといわれ、預けて復職しないと職を失う、預けない選択肢はないと思いこんでしまったことに後悔しかない。正社員の転職機会が少なく、長時間働くのが当たり前の労働環境にも目を向け、自分である程度の年齢まで育てたい人は育てられる環境も整えてほしい。

 「省エネ保育」といわざるをえ…

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