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 ともに全盲の夫婦、弁護士の大胡田(おおごだ)誠さん(39)と歌手の大石亜矢子さん(41)=東京都品川区。周囲の助けを借りながら、2人の子どもを育てている。「人の心の機微が分かる、共感できる人になってほしい」と願う。

 親子4人と盲導犬1匹が暮らす都内のマンション。座っていた大石さんの背中に、長男の響(ひびき)君(4)が「カメさん!」と飛びついた。大石さんが手を回して捕まえ、笑い声がはじける。「ただいま!」。夕方、チアリーディングの習い事から長女のこころちゃん(6)が帰って来た。大石さんの母佳子さん(70)らが夫婦をサポートする。

 大胡田さんは12歳で、大石さんは生後間もなく、視力を失った。ともに静岡県沼津市で育ち、東京の同じ盲学校を卒業した。大胡田さんは慶応大に進み、8年越しで司法試験に合格。大石さんはラジオで聴いた由紀さおり・安田祥子姉妹に憧れ、武蔵野音楽大で学んだ。今は演奏会や作詞作曲をしている。大胡田さんは白杖(はくじょう)を使い、大石さんは盲導犬を連れて生活している。

 大胡田さんが大学院生の時、アルバイト先で再会し、5年間の交際を経て結婚した。「長く、迷いがあった」という。自身の依頼者にも障害者同士で結婚したが生活に疲れて別れたケースがあり、一緒になることが大石さんにとって幸せなのか、自信が持てなかった。ただ、大胡田さんは2009年に母を亡くし、一緒の時間を大切に、共に生きていこうと決めた。

 子育ては「見えないのでしょっちゅうべたべた触ってます。あとは多分口うるさいと思いますね」(大石さん)。赤ん坊の頃はうつぶせ寝による窒息が心配で、夫婦のどちらかがなるべく触れているように心がけた。走り回るようになった今では苦労は倍増。どこにいるか分からない時は、返事するまで声をかける。「今はこっちが見えていないと分かっているので、都合が悪くなると逃げるんですよね。バカにするなって説教したこともあります」と大石さんは笑う。

 2月の土曜日。家族は静岡市のミカン畑にやって来た。親戚ら十数人が集まってのミカン狩りだ。「椅子はこっち。パパの横ね」。こころちゃんが大石さんの手を取り、木の間をぐいぐい引っ張る。「そんなに引っ張らないで」。笑いながら大石さんが後に続く。

 「僕がやる!」。ミカン狩りが…

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