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 自らの介護体験や、高齢化社会に思うこと、ニュース解説など、朝日新聞社員や関係者が月1回ずつ連載する「マンスリーコラム」。昨年12月に第1弾が始まって以来、読者のみなさんから多くの感想がメールで寄せられました。

 「認知症の母を見つめて」は、前頭側頭型認知症と診断された母親を介護した10年間を振り返り、家族間のやりとりや母親の様子を細やかに描いています。

 「消しゴム食べ、一人で高速道路へ 母は『私が悪いんだ』」は、今年1月に朝日新聞デジタルで最も読まれた記事になりました。反響も多く、「家族が同じ前頭側頭型認知症と診断された」という方からの声が目立ちました。

「病名がわかっていれば」

 昨年亡くなった母親が同じ症状だったという田村由紀子さん(47)は「非常に珍しい型の認知症と言われても、周りの者はあまりピンと来ず、どう接するべきなのかも分からずにただ時間が過ぎて、どんどん話せなくなる母の気持ちや不安を全然分かってあげられなかった……。今でも悔しいような、情けないような、後悔の念が強く残っています」。マンスリーコラムを読んで「確かに母もそうだった」と思い当たる症状がいくつもあり、「今頃になって、症状の進行を自覚していた頃の母の気持ちが、少しわかったような気がしました」と記しています。

 「私の母も全く同じ症状でした」と書いたのは、ペンネーム「青い鳥」さん。「そのとき病名がわかっていれば、症状が軽減する手立てがあったかもしれないと、当時を思い浮かべながら読ませていただきました。私の場合は一人っ子で出勤中だったので、母の自殺を残念ながら止めることができませんでした」

 ペンネーム「K.A」さんの夫は、数年前から仕事をたびたび休むようになったそうです。夜中に大声で本を朗読したり、毎食後にパンをいくつも食べたり、不必要な高いものを買ったりすることも。脳内出血で倒れた後、前頭側頭型認知症と診断されましたが、「本人が病気を認めず家で暴れて本当に大変でした」。言語障害が残り、会社を退職することに。

 「58歳で障害年金を請求しましたが、生活保護よりはるかに少ない金額で、退職金もわずかでした。息子たちが就職するまであと1年ちょっと、私の収入と保険金と貯金で何とかなりそうですが、もう少し救済措置があってもよいのではと思います」と訴えました。

父に点滴と胃ろう「後悔しています」

 マンスリーコラムの別シリーズ「老いの現場を歩く」は、「2025年問題」をテーマに、みとり、胃ろうといった、誰にでも起こりうる身近な問題を取り上げています。

 このうち、「自宅で穏やかに…は難しい? 望まぬ延命、不本意な最期」と「胃ろうにする?しない? 『心のふたがとれた』とき」に、多くの反響が寄せられました。

 「豪快に話し、食べることが大好きだった父の命を、話も食事もできないまま最後の一年、点滴と胃ろうでつないでしまったことを後悔しています」と語るのは、59歳の男性教師。長くパーキンソン病を患っていた父親を3年前に亡くしました。

 父親は胃ろうを望んでいないようでしたが、話ができるうちに終末期の対応を相談し切れず、意思疎通がかなわない状態に。「胃ろうにすると、常用していたパーキンソン病の薬を再開できます」と医師に言われて迷い、家族で話し合った結果、胃ろうをつけました。

 それから4カ月後、父親は肺炎で亡くなりました。

 パーキンソン病や胃ろうについては、さまざまな本や論文を読んで学んでいましたが、いざ選択を迫られたとき、「確かだと思っていた意志や判断は、いとも簡単に揺らいでしまいました」と振り返りました。

 三村恵子さん(36)は3年前のクリスマス前日、祖母に胃ろうをつけるかどうかの選択を迫られました。

 脳梗塞(こうそく)で特別養護老人ホームから救急搬送され、体の左半分の機能と、食べ物をのみ込む機能を失った祖母。胃ろうにしなければ2週間も持たないと医師に言われ、家族や親戚が集まりました。祖母が高齢で認知症であること、元気だった頃の性格などから、胃ろうをしない方向にまとまりかけました。

 しかし、幼い頃から祖母と過ごす時間が多かった三村さんには、まだ迷いがありました。訓練すればまた食べられるようになり、以前と同じように過ごせるのでは、という思いがあったのです。

 翌日、祖母が入っていた特養を父と訪ね、胃ろうをつけた人の詳しい状況をスタッフに聞きました。そして、「人間が枯れるように自然に亡くなっていくということの素晴らしさを知り、私の心は決まった」そうです。

 鼻のチューブと点滴を抜いて11日後、祖母は亡くなりました。

 「祖母のために皆で考え、悩んで悩んで悩み抜いて結論をだした、あの過程はとても大事でした。祖母との最期の時間は、今でも私の宝物です」とつづっています。

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 マンスリーコラム第1弾は、今後それぞれに話を展開していきます。ご感想やご意見をお待ちしています。お名前をご明記のうえ、下記のアドレスにメールでお送りください。ご投稿を紹介させていただくこともありますので、匿名希望の方はペンネームをお書き添えください。

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