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 東洋ゴム工業の免震ゴムの性能偽装問題は、前社長らが書類送検される事件に発展した。東洋ゴムはこの10年、品質をめぐる不正を4度繰り返した。いずれも経営管理が甘くなりがちな非中核事業で起きた。不正によって1千億円超もの損失を出し、事業構造の見直しを迫られている。

 東洋ゴムの中核事業は、「トーヨータイヤ」のブランドで知られるタイヤ事業だ。国内シェア(市場占有率)4位で、全体の売上高の約8割を占める。

 一方で、事件になった建物用の免震ゴム事業の売上高はピークの年でも10億円ほどで、1%にも満たない。船の配管につかうゴム製品など、ほかに不正があった事業も同様で、同社の経営の中では、重要度が低いとされていた。

 このため、経営トップの目が届きにくかったとみられる。トップは製品開発の指示はしても、その後のフォローがおろそかになる。また、品質管理のための十分な社員を現場に配置することもしなかった。人事も固定化してしまい、同じ人物が長く担当を続けることになった。チェック体制が形骸化してしまったことで、偽装が長く続いた。

 免震ゴムの問題発覚後、同社が負担する交換費用などによる損失は、16年12月期までで計1134億円に上る。北米を中心にタイヤ事業は好調なのに、16年12月期の純損益は、8期ぶりに赤字に転落した。

 企業不祥事を研究する警察大学校の樋口晴彦教授は、「事業に必要な人員や資源を割けないならば、事業の撤退や売却を検討するべきだ」と指摘する。同社は、タイヤや自動車関連の事業をのぞいては、縮小していく方針だ。(新田哲史、伊沢友之)