拡大する写真・図版 他人のiPS細胞を使った網膜組織の移植手術を終え、会見する理研の高橋政代医師(右)と神戸市立医療センター中央市民病院の栗本康夫・眼科部長=28日午後、神戸市中央区、遠藤真梨撮影

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 理化学研究所などのチームは28日、失明の恐れがある網膜の病気の患者に、他人のiPS細胞を網膜の細胞に変えて移植する手術を実施した。iPS細胞を使った世界初の手術(2014年)は患者本人からのiPS細胞を使った。他人のiPS細胞を臨床で利用したという報告は世界で初めて。

 他人のiPS細胞を使えば、患者本人のものに比べて準備にかかる費用や時間を大幅に減らせ、多くの人が受けられる医療に近づく。治療が難しい多くの病気で他人のiPS細胞を使った臨床の計画が各大学などで進められており、今回が順調に進めば、治療の可能性が広がる。

 理研の高橋政代プロジェクトリーダーらを中心に研究を進め、手術は神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)で実施。同病院の栗本康夫眼科部長が執刀した。京大iPS細胞研究所(CiRA、山中伸弥所長)が備蓄する「iPS細胞ストック」の細胞を、網膜の細胞に変化させ、目の難病「加齢黄斑変性」である、兵庫県在住の60代男性の目に移植した。手術は約1時間で、問題なく終了したという。手術計画は2月に厚生労働省の部会が承認していた。

 ストックの提供者は多くの日本人に拒絶反応が起きにくい特殊な免疫の型を持つ人で、手術対象はこの免疫の型に合う人を選んだ。安全性の確認が主な研究目的のため、拒絶反応がないかや、移植細胞ががん化しないかなどを調べる。大幅な視力の改善は見込めないという。今後さらに4人以上に手術を行い、それぞれ1年後の経過をみる。

 高橋さんらは2年半前、患者本人の皮膚から作ったiPS細胞を使い、世界初の移植手術を行った。経過は良好だが、準備や検査に10カ月間、約1億円かかった。今回は他人のiPS細胞を使い、移植方法をシートから細胞を含む液に変えたことで、患者の同意を得てから1カ月半ほどで移植できた。

 同日夜、神戸市内で会見した栗…

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