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 自民党の「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」(座長・小野寺五典元防衛相)は29日、敵のミサイル基地をたたく敵基地攻撃能力の保有について、政府に検討開始を求める提言をまとめた。相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に対し、「一刻の猶予もない」と指摘。小野寺氏は会合後の記者会見で、「撃ってくる策源地(基地)に対して反撃して無力化することが大変重要だ」と強調した。

 提言は、同日の党国防部会・安全保障調査会の合同会議で了承された。焦点の敵基地攻撃能力は「敵基地『反撃』能力」と表現。理由について、小野寺氏は「あくまでもわが国に攻撃が行われた場合ということが前提」と説明したが、実態は敵基地攻撃能力と何ら変わりない。日本が新たな攻撃能力を持つことに対する国際社会の懸念を抑えることが狙いとみられる。

 提言では、高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD=サード)や陸上配備型イージスシステム(イージス・アショア)など新装備も求めている。だが、実際に導入すれば数百億~数千億円規模の費用がかかるうえ、日本の弾道ミサイル防衛強化に警戒する中国やロシアなどの周辺諸国が反発するのは必至だ。

 提言は30日に安倍晋三首相に提出する。菅義偉官房長官は29日午後の記者会見で、「国民の生命・財産を守るのは政府の責務。提出されたらしっかり受け止めたい」と述べた。政府側は提言をもとに、自衛隊の装備体系を定めた中期防衛力整備計画(中期防)の策定前倒しを検討する方針だ。

 一方、民進党の安住淳代表代行は敵基地攻撃能力の保有について、「自衛隊は抑制的で、戦後の道を踏み外さないようにやってきた。もし変えるとなると、相当な話だ。事実上、憲法改正しないで憲法改正するようなことにもなりかねない」と批判した。(相原亮)

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自民党提言の骨子

・「敵基地反撃能力」を保有すべく、直ちに検討開始

・高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)、陸上配備型イージスシステム(イージス・アショア)の導入について直ちに検討開始

・ミサイル発射を宇宙から探知する「早期警戒衛星」保有のため、技術開発などを加速

・イージス艦搭載の迎撃ミサイル「SM3」、地対空誘導弾「PAC3」など、現行のミサイル防衛強化策を前倒し

・排他的経済水域(EEZ)で操業する船舶を守るための法的課題について検討