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 「私たちは『エリート』から政治を取り戻すためシステムと戦っている。あなたたちは民衆の声を聞かないシステムの一部だ」

 3月20日夜、フランス大統領選の主要5候補が臨んだ初めてのテレビ討論会。4月23日の第1回投票に向けて世論調査で支持率首位の座を争う右翼・国民戦線(FN)の党首マリーヌ・ルペン(48)は、他の候補者らにかみついた。

 与党・社会党や最大野党・共和党の政治エリートは民衆の声に耳を貸さないばかりか、ドイツが支配する欧州連合(EU)を動かす「ブリュッセルのエリート(EU官僚)」によってコントロールされている、と。

 だが、討論会の様子を見ていて感じた。ルペンの後ろに並ぶ党幹部や支持者は、品が良い。光沢がある高級そうなスーツをまとい、上品なネクタイに清潔感を感じさせる髪形である。

 ノーネクタイやパーカにジーンズ姿の人もいる他陣営よりもエリートっぽくないか。しかもルペンが挑発的な物言いで持論を展開させても、その勢いにさおさすように大きな歓声をあげたり、テレビの視聴者を意識するような大げさな身ぶりをしたりもしない。ほとんど姿勢を崩さず、他陣営の候補者の話にもじっくりと耳を傾けているように見える。

 何だか、変だ。

     ◇

 「民衆の名のもとに」とのスローガンを掲げ、主張が「過激」と批判されるFNなのに。その党の幹部はいったい、どんな人たちの集まりなのだろう。高久潤記者がその正体を追った。

     ◇

 そもそもFNが生まれたのは1972年。マリーヌの父、ジャンマリ・ルペン(88)が設立した。ジャンマリは、第2次世界大戦時にユダヤ人を虐殺したガス室を、「歴史上のささいな出来事にすぎない」といった発言を繰り返してきた。FNは、キワモノ視される存在でもあった。11年に2代目党首に就いたマリーヌは、極端な発言を抑え、「ふつうの政党」のイメージの獲得に動く。大衆路線だ。2014年の欧州議会選挙では、得票率約25%で国内第1党にのし上がるまでになった。

 経済の低迷で高いままの失業率にあえぐ国民に、EUや既成政党という敵を明示して支持を広げた。攻撃対象は、そこに君臨するエリートたちだった。

 でも。どうも納得がいかない。

 エリートを敵視していますが、あなたたちこそ立派なエリートに見えてしかたがないのですが――。

 パリ市内のカフェで待ち合わせ…

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